爆裂BOX

ケース39の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ケース39(2009年製作の映画)
3.6
オーブンで焼き殺される寸前に助けられた10歳の少女リリー(リリス)は、ソーシャルワーカーのエミリーの家でしばらく過ごすことになるが、それを機に不可解な死亡事件に遭遇することになる…というストーリー。
レニー・ゼルヴィガー主演のホラー・サスペンスです。監督は「カット/オフ」や「パンドラム」のクリスティアン・アルヴァルト。
里親が見つかるまでの間リリーを引き取る事になった児童専門のソーシャルワーカーエミリーは、恋人でセラピストのダグと共に平穏な生活をスタートするも、周囲で不可解な死亡事件が続発し、リリーの言動に不審を抱き始めるという内容です。ちょうどアメリカで同じころに公開された「エスター」と似た「子供怖い」系ホラーですね。
序盤のリリーを両親がオーブンに入れて殺そうとする児童虐待シーンは役者陣の熱演もあって結構ショッキングで、サスペンス的にもハラハラできて秀逸ですね。この児童虐待シーンが問題視されてアメリカでは上映延期になったようですね。それで公開されたら「エスター」と被っちゃうという運の悪さ。カラム・キース・レニーとケリー・オマリー演じる両親の不気味さも中々のもの。中盤から印象変わりますが。
そこから彼女を助けて親身になった主人公エミリーと里親が見つかるまで暮らすことになりますが、担当していた別の少年が両親を惨殺する事件を起こし、その直前にエミリーの家から少年に電話かかっていたことから、リリーに疑惑の目を向けていきますが、正直、主人公が疑惑を向けるのが早すぎて、「あんなに親身になってたのにそんな直ぐ疑う?」と思っちゃいました。主人公の友人の刑事も主人公の言う事に耳かさなかった割には中盤過ぎにいきなり信じちゃいますし。そこら辺の心理描写がイマイチ上手く描けてない気もしましたね。
ブレイク前のブラッドリー・クーパーが演じてる主人公の恋人ダグのシーンは、耳から蜂の死骸が出てきたと思ったら口や鼻、眼からもウジャウジャ蜂が出てくる虫嫌いには悶絶もののシーンになってます。シャツの背中にびっしり蜂が張り付いてるシーンは見てて「ウギャー!!」となりました(笑)あれCGかと思ったら実際に蜂の死骸張り付けてるんですね。
リリーの言動に不審な物を感じ、彼女を殺そうとした父親に話を聞いたりしてリリーの正体に迫っていきますが、終盤明らかになるリリーの正体は現実的な方向に着地した「エスター」とちがってこちらはオカルト方向に舵を切りましたね。名前の時点で気付く人いると思いますが。
何といってもリリーを演じたジョデル・フェルランドが素晴らしすぎます。序盤の両親の言動に不安そうにしてたり、エミリーに不安を打ち明けるシーンの虐待の被害者少女といった表情やエミリーと暮らし始めてからの無邪気で明るい少女の表情から、本性現してからの無表情や笑顔で邪悪さを感じさせる演技は見事としか言いようないです。「サイレントヒル」といいホラー作品の出演多くてメイキングで本人も楽しそうに語ってますが、そりゃこれだけのもの見せてくれたらオファー多くなるだろうなと思います。
次々と周囲の人が死んでいき、更に幻覚で追い詰められていくエミリーを演じるレニー・ゼルヴィガーの熱演も良かったです。
ラストはアッサリしすぎというか、あれだけ強力な存在だったのにあんなんで簡単に倒せるのかと思っちゃいました。特典の別エンディングの方がホラーらしい終わり方でしたね。
「子供怖い」系ホラーとしてはそれなりに楽しめる作品ではありますね。ジョデル・フェルランドの演技だけでも一見の価値はあると思います。