たむたむ

血を吸うカメラのたむたむのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
3.7
【断末魔の表情こそ至上】
禁断の撮影に取り憑かれた男の末路を描いた、マイケル・パウエル監督によるサイコスリラーの先駆けと言われる作品。邦題に惹かれて鑑賞。

映画カメラマンとヌード写真家を兼業するマークは、断末魔の表情をカメラに捉えることに悦びを感じ、娼婦や新人女優たちを次々と手に掛けてゆく。

いゃこれ…めちゃオシャレやん!*・゚(*º∀º*).゚・*
ファインダー越しを模したPOV視点による、冒頭のカメラワークからセンスが滲む。
原題は『Peeping Tom』=『覗き魔』なんですね。
もしかしたら邦題で損してるかな?と思いきや、よっほど原題よりイカしてた(笑)

調べてみると、どうやらエドガー・ライト監督の『ラストナイト・イン・ソーホー』に影響を与えた作品のひとつだそうで。なるほどね✧

当時は余りの衝撃度によって厳しい非難を受けたそうで、監督は本作でこのキャリアを終了してしまったらしい。。なんと勿体ない…( ・᷄ὢ・᷅ )
70年代にマーティン・スコセッシが本作を絶賛し、再評価されるまで闇に葬られていたんだとか。

時代が時代なのでゴアはおろか、殺害シーンすら直接的には描かれないけど、全くチープな印象はなく、むしろ上品に感じるほど。それはそれでスリラーとしてどうなの?と思うところですが、しっかり主人公の悲哀が物語の中核を担い、ストーリーもちゃんとしていて、不気味なところは不気味に感じる。思いのほか名作の趣を呈す作品です。

ヒッチコック好きさんには刺さりそう(´﹀`)
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