Tutu

愛と追憶の日々のTutuのレビュー・感想・評価

愛と追憶の日々(1983年製作の映画)
4.2
母娘であり、同時に親友同士でもあるようなオーロラとエマ。物語はエマの出生から夭逝まで、彼女の人生をなぞりながら。家族、親子の関わりとは何か、といったような。

人と人との交流においては基本的に一期一会が常だったりするけど、善かれ悪しかれ切っても切れないのが家族の絆。どうせ切れないなら勝手なこと言い合ってやるわ、みたいなのを自然体でやってるこの母娘はある意味理想的な親子関係を築いてる感じ。

母を思ってこの映画を観てみた。長電話をする時なんかは友達同士のように談笑したり、憎まれ口を叩いてみたり、本作の母娘と全く一緒。
最近では僕のお説教も素直に聞き入れてくれるようになったりして、僕が一人の大人として成長するのと同時に、それを受け入れて子どもの苦言を甘受するだけの余裕を身に付けていく母。つまり僕達親子は一緒に成長している。やっぱりこの母娘と全く一緒。

昔の僕は「成長したら大人になる」んだと思ってて、だから大人として成熟しきれてないような親を許せない時期もあって、でもそれが子供じみた発想だと思えるくらいには大人になってきて、その成長の源泉はきっとこの映画みたいにオーロラとエマが送る家族とのありふれた生活なのだ。

ありふれた人生の何と苦しいことだろう。そりゃダメ親に成り下がることだってあるよ。でも否が応でも切れない家族の関係。共に成長する家族の絆が死によって断ち切られた時、何が起こるか。良いことも悪いことも引っくるめて、全て赦してしまう気がするのだ。親はまだ健在だから分からないけど、祖母が亡くなった時はそんな感じだった。大概酷い人間だったけど。

オーロラとエマ、関係もそうだけど見た目も素敵な母娘だったなあ。特にシャーリー・マクレーンの魅力的なこと。キャスト、お話、音楽等々総じて非常に良い映画だった。
Tutu

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