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ラスト・キャッスルのEDDIEのレビュー・感想・評価

ラスト・キャッスル(2001年製作の映画)
4.0
軍人にとっての“誇り”とは。軍刑務所に収監される英雄。非人道的な刑務所長の仕打ちに怒りを膨らまし、受刑者たちの一致団結に心打たれる。少々大味な脚本だが、感情移入しやすい主人公像が素晴らしい。

リーダーって色んなタイプがいると思うんですよね。本作に出てくるのは部下を認め自らの姿勢で引っ張っていくタイプのリーダーと権力で制圧する恐怖で支配するタイプのリーダー。
ロバート・レッドフォード演じる主人公のユージーン・R・アーウィンはまさに前者で、ジェームズ・ガンドルフィーニ演じる刑務所長のウィンターズ大佐は後者ですね。

様々な映画を観てきた中で非人道的な刑務所長、刑務所員はたくさんいました。
本作では根本的に彼らは軍人であるということ。アーウィンのこれまでの功績は十分にわかっており、受刑者とはいえ相応のリスペクトを持って接していました。
ではなぜ彼らはアーウィンに対して厳しい処罰を次々と繰り出していったのでしょうか。これはウィンターズ大佐の嫉妬心と逆恨みでしかないんですよね。
正直殴る叩くの痛々しい体罰はありませんが、石運びの懲罰は行き過ぎです。そこまでやる必要があるのかと。
だけど、そこでアーウィンは不屈の精神と彼自身のプライドにかけて、その懲罰を乗り越えていきます。受刑者の面々は彼のそんな姿を見て、リスペクトの念が強まっていきます。こうなれば刑務所の受刑者たちはアーウィンの言動に注目し、ついていくようになります。
刑務所を支配してきたウィンターズ大佐からすれば、アーウィンは目の上のタンコブなわけですね。

彼らの誇りといえばアメリカ国旗である“星条旗”です。これが終盤に重要な役割を果たしていくわけですが、本作ではアーウィンのかっこいいまでのリーダー像に魅せられ、受刑者たちが心動かされ団結していくまでの人間模様がとても心地よく映し出されます。
クライマックスの受刑者vs刑務官は見応えがあります。そこに至るまでの道具の準備などはどうしたんだろうとかちょっと雑さも感じましたが。

キャストは主要2人のほか、本作で重要な役回りとなるイェーツ役の若かりしマーク・ラファロ。まだ青臭さが残る若さです。
個人的には物語の中盤で石塀の城を作り上げたシーンの直後が心にきました。受刑者たちに軽視されていたアギラーというキャラが、石の積み上げ方を指導してみんなが彼に一目置くようになったんですね。その直後に刑務所長からのまたもや非人道的な命令が下り、その結果アギラーは…というところです。1人命令に背き立ち向かうアギラーの姿とその後が前までの彼の活躍と直接リンクして観ていてつらい気持ちになりました。

“正義”とか“誇り”とか、そんなこと言っている輩はハッキリ言って信用できませんね。ウィンターズ大佐がアーウィンの悪口を言うときの彼の人間性を否定するようなセリフが、そっくりそのまま「お前のことやろ!」と突っ込まざるを得ませんでした。

あとウィンターズ大佐が食事のシーンでダイエットコーク飲んでいたのは笑いました。

※2020年自宅鑑賞193本目
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