もとまち

聖し血の夜のもとまちのレビュー・感想・評価

聖し血の夜(1974年製作の映画)
3.7
我がトラウマ映画。小さい頃、たまたま目にした本作のワンシーンがあまりにも恐ろし過ぎて、長らく見直すことを躊躇っていた。70年代のこういう陰惨なホラーはマジで怖い。人里離れた不気味な屋敷を舞台に、次々と巻き起こる残忍な連続殺人。クリスマスの闇夜を跋扈する殺人鬼の影。黒手袋に手斧という犯人のビジュアルや、頻繁に挟まれる犯人の主観ショットなどはジャーロ/スラッシャーの定番スタイルだが、そこにゴシック的なおどろおどろしいタッチを織り交ぜているのがとても良い。セピア色の家族写真、古ぼけた新聞紙、随所に鳴り響く「きよしこの夜」のメロディ等々、不吉な道具立てが本当に秀逸。問題のトラウマシーンはラスト、全ての真相が明らかになる回想場面。屋敷に秘められた惨たらしい過去を、呪いのビデオのように荒んだフィルム映像で描くシークエンスは圧巻の怖さ。あの狂人たちの行進、顔を覆う真っ黒なノイズは、脳にこびりつくようなインパクト。DVD版の黴が生えたようなクソ画質のおかげで、なおのこと禍々しくなっていた。脚本自体はお世辞にも褒められる出来ではなく、展開もかなり間延びしているのだが、突出した恐怖描写のおかげで他に類を見ないスラッシャーホラーの傑作になっている。
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