丹叉

ミュンヘンの丹叉のレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
4.5
スパイ映画的な緊張感と諜報員のリアルな部分の描写が丁度良い具合に両立した良作。

割合的にエンタメ控えめのスパイ映画ではあるが、”スパイ“を強調し過ぎないその現実的なタッチが魅力的。本物の諜報活動を身近に感じながら鑑賞出来る。かといって娯楽性あるアクションシーンが無い訳ではない。このリアリティある演出の中で差し込まれる銃撃戦や爆破工作のシーンは、それが大半を占める様な他作品と違い返って説得力を持ち、より現実感や臨場感の中で楽しめる。

主人公君、最初はジョーク言える様な人だったのに諜報活動開始して徐々に心が蝕まれてゆき最後はもう別人になっちゃったね。一緒に鬱になっちゃったよ。内面描写がかなり丁寧。それ故の重さ。だがそれがいい。

カミンスキーの映像ってなんでこんな綺麗で高級感があるんだろう。当然の様にレベチのカメラワークかましてくるし。それだけでも楽しめてしまう。彼が撮る西欧の街並み本当好き。見入っちゃう。

当然過ぎて書くのも烏滸がましいけど、ジョンウィリアムズの音楽は相変わらず映像に天才的な効果をもたらします。まじでこの人どのジャンルでもいけるんだな。

最初は上映時間長いしここでの評価微妙だしとかネガティブな事考えていたけれど、スピルバーグ、ヤヌス、ウィリアムズの天才トリオの作品にそんな心配は要らなかった。見てよかった。
丹叉

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