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ミュンヘンのd3のレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
3.8
ゲリラへの報復作戦を命じられた男は、リストアップされた人々を殺すうちに、「殺しても何も感じなくなる」とうそぶくが、表情は疲弊している。
自分たちが殺害してきたように、自分もいつか狙われるのではないかと感じはじめ眠れないのだ。

活動の第一線から退いてもなお、自分だけではなく家族も狙われているのではないか、狙っているのは敵ではなく身内ではないかといった疑いにとらわれる。
祖国のためと思い働いてきたことが、みずからの幸せにつながらないことを知った男は、殺し合うことが平和につながらないことを悟る。

祖国のために命を賭す行為は日本人には実感しがたい。しかし、この国の価値観が変わりつつあることに寂しさを感じる人は多いはずだ。
その先にあるのはどのような感情なのかは、まだ誰も知らない。
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