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ミュンヘンのPOPCORNのレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
3.5
結論から言えば、放映時間も長く、報復のお話なので坦々と殺戮を繰り返し暗い作品です。
でも〝ユダヤの人々の祖国へ思い″このリアルがこの作品には込められていて、本質のスピルバーグ作品として私にとっては非常に価値のある作品でした。

でも現実では、恨みは、恨みを生み、復讐という行動の起爆剤となる。負のスパイラルは、道路のトンネルと違い、出口が見えず…。
イデオロギー、宗教云々、長年の…、いいえ、人間とは残酷にも、同じ種なのに、殺し合いをし、戦争を始めてしまう。そしてテロまでも。進化したんじゃない。潰しあっている。
70年代の事件を基に製作された作品ですが、今、現代はどうなのか? 恨みは?増幅しているだけの様な気がしました。
不可能ですが、一度、その恨みを何処かの国か民族…飲み込むことが人類にとって必要かと、再認識σ(^_^;)
中東の現実。絡み合う国家間、メッセージ性の方が強烈です。ナポレオンのモスクワ進軍以来続く欧州のこの負の連鎖。何とか終息の方へ行かないものか、切に願うばかりです。

「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」に次ぐスピルバーグ監督が発表した〝撮りたい映画″の位置付けの衝撃作でしょう。
もうスピルバーグ自体、お金の為に映画を製作してしないんでしょうね。
だから、こう言った作品こそ私は避けては通れません。

1972年の夏、平和なミュンヘン五輪が開催された頃。突如、ミュンヘンの選手村にパレスチナ人ゲリラ〝ブラックセプテンバー″と名の乗る8人が乱入しイスラエル選手団11人を人質にとり、捕まっているアラブ人政治犯200名の同胞の解放を求めます。が、イスラエルはそれを拒否。ゆえにゲリラ達は旅客機で脱出を試みるのですが、ドイツ軍の攻撃にあい、人質のイスラエル選手を皆殺しにするという凄惨な事件が起こる。それを受け、イスラエル政府は秘密裏にモサド(イスラエルの諜報機関)に属するユダヤ人の主人公アヴナーを中心とした精鋭5人をヨーロッパに派遣し、パレスチナ人の要人や運動家11人を探し出し、皆殺しにせよとの命令を下す。その手段や方法は5人の精鋭達に託され、更にはモサドとの関係も事実上切られた上で、彼らは次々と命令通り暗殺していきます。ですが、ターゲットとして上げられたパレスチナの要人達は皆ゲリラや軍人ではなく、思想家達だったりで、5人は徐々に罪の意識苛まれていく…。そして最大のターゲットのサラメの居場所をつきとめるんですが…。
そして報復が呼ぶのはまた新たな報復であり、この残虐非道の繰り返し、負のスパイラルはあってはならないものだとスピルバーグが語りかけるように、ラストシーンのバックにそびえ立つワールドトレードセンターのカットはセンセーショナルでした。
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