Joker

ミュンヘンのJokerのネタバレレビュー・内容・結末

ミュンヘン(2005年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

観た後の「重み」がすごかった。

カメラワークからは、
臨場感や緊張感のある撮り方で、観てて自分もその場にいるような、諜報員になったような感じを得た。

この映画は政府から報復の指示を受けた男たちの壮絶な暗殺の過程を描いたもので、銃撃戦や、爆破作戦などハラハラした展開や見応えのあるアクションがあるが、この映画はアクション映画ではなく、ドラマのジャンルで内容が重要だったと思う。

主人公アグナーはテロのせいで志願したわけでもなく、政府からテロの首謀者の暗殺を命じられる。暗殺の経験もないのにわすかな説明で、政府は関与することはできないと告げられ、妻が出産を控えているのにも関わらず仕事のため出国することになる。初対面の仲間と共に初めての暗殺を様々な危機を乗り越えて成功させていく。しかし、いくら相手を殺しても更に凶悪な後継者が現れてくる。情報提供者も完全に信用できず不安が残る。そんな中着実に任務を遂行させていくが、仲間たちが次々に殺されていく。任務は最後まで完了できなかったが、彼は十分な成果をあげて帰国する。しかし、「君は存在しないから、政府は関与できない」という理由で一切の表彰もない。

映画を観て思ったのは、彼はなんのために任務を果たさないとといけなかったのか、任務によって何を得たのかということ。

妻が出産の時に国を離れ、機密作戦ということでサポートをもらえず、殺しても新しく後継者が出てくる任務に意味を感じられないまま、次々に仲間が殺され、帰国しても常に暗殺の恐怖に怯えながら、自分がいない間に大きく育った娘との失われた日々を埋めないといけない。
彼は政府の報復という目的のために使われた1つの駒にしかすぎず、彼は何も得るどころか、あまりに多くを失ったと思う。しかし、それも政府のため、祖国のためだという理由で正当化されてしまうのが虚しくて仕方なかった。

娘と妻に会えない寂しさ、自分の任務の疑問性、いつ暗殺されるかもしれない恐怖感等主人公の感じる苦悩がしっかり描かれていて良く伝わってきた。
同時にイスラエルとパレスチナの対立の複雑さと深刻さも伝わってきた。

イスラエル、パレスチナ側両方から批判がかなり寄せられているようで、自分みたいにミュンヘン事件について何も知らず、事実性や語り口の視点の偏りなどに気にならない人、分からない人は十分楽しめる作品になっていると思う。


よいレビュー
http://palestine-heiwa.org/note2/200602112058.htm


https://movie.maeda-y.com/movie/00670.htm
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