イーノックとアナベル、死と向き合っているはずの二人の若者が主人公なのになぜだろう。この陽だまりのような物語は。
人生は長いと言うけれど、命には限りがある。それは大切な人と過ごす時間にも限りがあるということで…どんなに生きたいと、大好きな人と一緒にいたいと、この人生を手離したくないと願っても必ず訪れる別れの瞬間に無力な人間は抗えない。有無を言わさずに生を奪われた人間の象徴として幽霊になりイーノックの前に現れる戦時中の特攻隊員ヒロシの存在がラストに意味を持つ展開はお見事。
死に対するイメージは明るいものではないけれど、死を近くに感じるときまたは死に近い環境で生きなければならなくなったとき、死をどのように捉えるか。
悲観的にならないラストとイーノックとアナベルの笑顔に前向きな気持ちになれた。
ハロウィンに特攻服って…かなりシュールだし頭の固そうな人が観たら不謹慎って怒りそうな気もするけど…テーマ自体が死と生を大真面目に捉えてる作品だと思うのでそこは限られた命に対する敬意として、私はアリだと思いました。