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枯葉 〜夜の門〜のmhのレビュー・感想・評価

枯葉 〜夜の門〜(1946年製作の映画)
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パリ解放(1944年8月)後、物資不足にあえぐパリ市民が冬を迎えているさなかの、ファンタジックな恋愛ドラマ。
「運命」という名のホームレスが、登場人物に思わせぶり&謎めいたことを告げて回る。超自然的な存在という認識でいいみたい。端的に「死神」っぽいけど、そういうわけではないっぽい。
・薪として廃材を売っているような状況。
・終戦前(ドイツが降伏するのは1945年5月)なのでコラボラシオン刈りはまだ起こってない。(丸刈りの女性は登場しない)
・なので住民たちの間に疑心暗鬼とフラストレーションが溜まっている。
・解放されたパリには、ロンドンに避難していた富裕層や、(特に共産主義者系の?)レジスタンス闘士が続々と戻ってきている。
そんな社会状況が描かれてる。
序盤のシークエンス。主人が留守中に訪ねてきた主人の友だちが、ご主人の不幸を告げると、いましがた死んだと思った妻が泣き出したところに、ご主人が帰宅して、みんながにっこにこになるという素晴らしいプロットがあった。苛烈な拷問があったことと、コラボラシオンがいることを実に巧みにエピソード化している。
コラボラシオンを同情的な描き方をしているのも特徴だと思った。この映画のコラボラシオンは気に病んだ結果、ついには自殺してしまう。
ネオリアリズモの対極にあるようなベッタベタな展開になってて、これはこれで楽しかった。
あと、イブモンタンの魅力がすごい。めちゃかっこいいね。
面白かったです。
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