Jeffrey

枯葉 〜夜の門〜のJeffreyのレビュー・感想・評価

枯葉 〜夜の門〜(1946年製作の映画)
3.0
‪「枯葉~夜の門~」‬

‪冒頭、1945年2月。冬のとある日、第二次世界大戦後のパリ。戦中のレジスタンス運動、同志の鉄道員、再会、恋の町、運命、出会った男と人妻。真夜中の銃声音、病院。今、恋の歌ってみんなもの寂しいと感じてしまう出来事が起こる…

本作はマルセル・カルネ監督がJ.プレヴェールとの黄金コンビによる作品で音楽もコスマを起用し、イヴ・モンタン主演で送る詩的ドラマで、BDで久々に観たがナチス占領下の暗い雰囲気が漂っており、パリの寒い冬がいっそう映画を悲しく深刻な人々の分裂と葛藤をえぐり出しノワールな描き方をしている。

こうしてみると古典的な映画をたくさん見てきている個人的には顔なじみの役者が勢ぞろいしていてなかなか見返してみても面白いものだ。

この物語はどちらか一方が幸せになる事を拒否するかのような徹底的なリアルな社会状況と不条理な対決を重苦しく描いている。

これこそ無慈悲な運命と言うものだろうか…。

さて、物語は男の一人称の語りで始められ、カメラは上空からパリの街並みを映し出す。続いて列車の中を映し、男性2人が目と目を合わす。

ハットをかぶった男がスーツの男性に次で降りるのかと声をかける。続いて人混みの駅構内の描写へ。陽気な音楽の中、若いカップルが柵越しに顔を見合わせ微笑む。そこからパリの裏街を舞台に男と女の儚く切ないラブストーリーが始まり、その運命の歯車はあまりにも非情な展開を見せる…と簡単に話すとこんな感じで、詩的リアリズムが感じ取れる名作だ。

この映画はどちらかと言うと女性に人気を博しそうだ。

不意に扉から子供の大群が階段を駆け下りるシーンは可愛らしい。当時のパリの街並みや活気溢れる人々の画は美しく、音楽と共にぐるぐると男女が回りながら踊るシーンはとっても好き。

そこに彫刻等のワンショットが映されるのも素敵。それにしてもとことん刺激的な映画だ。新しい人生の幕開けと思っていた矢先に真夜中の路上で銃声音が鳴り響き、その一瞬で物語は残酷なまでの闇の深さで染まり始める…

なんともカルネは容赦が無いお方だ。

この映画を見るとドゴールやシラク大統領の顔を思い浮かべてしまうのは私だけだろうか…。

最後にシャンソンの"枯葉"が本作で流れ、大ヒットしてサウンドトラックも好評だったらしい。確かに美しいメロディーではあったが個人的には普通に思える。‬

‪まだ未見の方はお勧めだ‬。
Jeffrey

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