SunO2

裸のチェロのSunO2のレビュー・感想・評価

裸のチェロ(1974年製作の映画)
5.0
笑っているうちに狂気に駆られた主人公に段々と薄ら寒くなっていくイタリアン・エロティックコメディの傑作。

名前を覚えてもらえないだけではない、自己認識の足りなさ。しまいには自分の名前すら忘れる。オーケストラでチェロを演奏していない時に褒められ、自殺を考えるまで追い詰められる。そんな時に妻の裸体の魅力に気づき、それを他人に見せる事で快感を覚える様になる。

一見すると、理由(自分の存在感のなさ)と行動(妻を見せびらかしたい)は論理的に何の脈絡もない。だがそれが狂気というものなのだろう。自分の弾くチェロと妻の体を同一視する主人公はひたすらに痛々しい。

ラスト妻の様子が様変わりしていて振り切ったと思った。しかし何という結末か。(原題『クロツグミの雄鳥』)
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