ひでぞう

有りがたうさんのひでぞうのレビュー・感想・評価

有りがたうさん(1936年製作の映画)
4.4
さすが、清水監督である。バスという小さな車内から、当時の社会が見えてくる。穏やかな流れに身を任せていると、峠を越える白いチマ・チョゴリを着た朝鮮人の女性、そして労働者の男性。列を成している。

驚いた!
「あそこの道を『ありがとうさん』の運転するバスを通って見たかった」

女性の静かな言葉を、拾い上げるところに、清水監督の優れた視点がある。この時期に、なぜ、それが可能だったのか。自分たちが作った道を通ることができないということがあらわになる。哀切な響き。
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