有りがたうさんの作品情報・感想・評価

「有りがたうさん」に投稿された感想・評価

赤い花

赤い花の感想・評価

5.0
「たつた二十里の街道にも
これだけのことがあるんだもの
広い世の中には
色んなことがあるだらうねえ」
この上原謙ハンサムすぎで、勝手に狂気
を感じた。ジキルとハイド的というか。

いつ、バスごと谷に突っ込むのだ…不躾な桑野通子に目潰しするのだ…とハラハラ。

そんな映画のはずもなく、底抜けに良い人な運転手「ありがたうさん」のバスが峠を越えるルートの中で乗り合わせた人々のささやかなドラマ。
じょり

じょりの感想・評価

5.0
①戦前の乗合いバスに立ち込める悲喜こもごも体験度 128%
②どんだけイケメンやねん上原謙、そして桑野通子を今日から姐さんと呼ばせて下さい度 128%
③清水宏監督とその時代だからこそ生まれたとしか考えられない唯一無二度 100%
マイベストムービー。以下長文です。


文章の内容と同時にその行間から伝わる大切な何かを、優れた小説を読んだ時に感じたことがあるじゃないですか。本作はそれで満ち溢れていました。

バスを避けてくれた人たちに「ありがと〜」と答えたり、街でレコード買ってきてとのお願いを笑顔で引き受ける陽気なだけの運転手ではない、今まで何度も辛いことを体験しこの世を達観したかのような有りがたうさんの、売られる娘や朝鮮人労働者の娘との淡々とした会話。
また、こちらも酸いも甘いも味わってきた桑野通子演じる黒襟の女を中心とした乗客との軽妙なやりとりから感じ取れる、作り手の人生観。
セリフも展開も今では少ないまったりとした速さですが所謂小ネタも面白く和み、映像からは車内の匂いすら感じられるようで、清水監督が小津さんや溝口さんから天才と呼ばれていた理由が分かる気がします。当時の風景や世相など、将来は昔の映画でありつつ歴史的資料ともなるであろう先見性をもって作られてそうですし。

E.クストリッツァ「アンダーグラウンド」のラストシーンで笑いながら泣いた私にとって、映画が他の芸術と違うところは、2つの異なる感情を同時に感じることができる点であり、そう感じさせられる作品を評価したいです。
そんなわけで、悲しくも微笑ましい本作が大好きです。

川端康成の原作も読みましたけれど、監督はあの短編から何をひらめき、映画として製作されたか動機を知りたいなぁ。


………初見は何年か前で、食卓に着きテレビをつけるとちょうど本作が始まりました。当時のBS-2でしたか。「かなり昔の映画やん。へぇ〜…ほ〜…」

その日の晩ご飯は親子丼でしたが、映画が終わるまでに、ふた口しか食べてませんでした。それほど強烈な体験だったんでしょうね。

何度目かの鑑賞。
あゆみ

あゆみの感想・評価

3.0
白黒映画なのに青空の写し方がとにかくきれいでちょっと懐かしい感じがして寂しい。なんかすき
ほぼ全シーンバスの中。
音楽は明るくて、台詞もぼんやりとした感じ。
登場人物は何かしらみんな影があって、バス運転手さんがひたすらそれを乗せて、話を聞いて相槌をうって、言伝をうけとるだけ。それだけの映画で最初は少し飽きるのになんか引き込まれてしまって結局最後までみてしまうやつ。
ただひたすら道路を作り続け、でも自分たちはその道路を踏むことができず次の道路を作りにだされる朝鮮人のくだりがすごく印象的。

原作は川端康成のたった5頁くらいの小説。
ameo

ameoの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

伊豆の山村と駅の二十里を行き来するバスの運転手、「ありがと~、ありがと~」が口癖な事から愛称は「有りがたうさん」(上原謙)。バスの乗客や山道を行きかう人達の人生模様が描かれる。



全編ロケ撮影という事で当時の山村、山道の風景が、また清水監督の棒読みなセリフの演出や言葉使い、掛け合いが何とも魅力的で、当時の世相が垣間見れる。悲哀をにじませながらも最後はすっきりと終わる大変楽しい映画でした。

原作は川端康成の掌編小説で、主演の上原謙はこの映画がデビュー作。
K子さん

K子さんの感想・評価

3.0
たまたまテレビでやってたのを見た、と思う。

引き込まれて結局最後まで見た。
kentaro

kentaroの感想・評価

-
観ながら、「なんだこれは・・・」と嘆息してしまう映画がたまにある。
これがそれだった。

なぜこれほどに、誰もがのんびりセリフを・・・
このバスは一体どこへ向かっているのか・・・
誰への、何の、「有りがたう」なのか・・・
roland

rolandの感想・評価

-
独特の間合い。少年たちがバス(こちら)に走り寄るショット。ジャームッシュも小市民映画の系譜で考えていいのかもしれない。
結構前に観たやつ。ばあちゃんが主役の上原謙が大好きだったって話を聞いて思い出した。まあかっこいいよなぁ。
昔の映画の話をおばあちゃんとしたりとかすると、さらにその時代のこととか知れて、感情移入できるね。
KSat

KSatの感想・評価

4.0
乗合バスの中での悲喜こもごも、なんていうと「駅馬車」みたいだが、派手なアクションも、ロマンスらしいロマンスも、ジョン・ウェインも出てこない。のんびりした、実にのどかな映画だ。
後のネオレアリズモやヌーヴェルヴァーグの映画と比較する見方もあるようだが、こちらは殊更のどかだ。

同じ清水宏の「按摩と女」も観たが、あの冒頭の山道の場面をずっとやっているかのような作りであり、ともするとやや退屈。
しかし、ところどころの切り返しの巧みさや独特すぎる台詞回し、個々の人物の描写などは実に鋭い。特に、口髭に眼鏡の狸オヤジのキャラクターと周りの彼に対する扱いがかなり面白い。

車の中で煙草を吸ったり、ウイスキーを回し飲みして歌ったり、道々で出会う人たちからことづけやお使いを頼まれたりと、今じゃ考えられない場面が次々出てくる。
「ターキーターキーっていうけど、なんのことだい?」
「女が男の真似をすることさ。だから、男が女のように喋るのを、トーキーっていうんだろうよ」
なんて台詞は、いかにも時代を感じる。
祝言をあげる夫婦と通夜に行く老人のやり取りなど、短い場面ながら笑ってしまう。

しかし、さり気なく結末がドラマチックだったりして、びっくりした。
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