ピッコロ

宇宙人東京に現わるのピッコロのレビュー・感想・評価

宇宙人東京に現わる(1956年製作の映画)
3.5
日本初の本格的カラー空想特撮映画

空を見上げれば、無数のお星さま。
その一つ、一つに名前があって・・・。
その一つ、一つにもしかしたら・・・。
全ての星を見た人は、この世にいるのだろうか?
若かりし頃のアナキン坊やが、そう言っていた。

自分達が、あの星を眺めるように、あの星から、宇宙人がこちらを眺めているかもしれない。

あの青く綺麗に輝くお星さまの名前は、なーに?
あの青く綺麗に輝くお星さまにも、宇宙人がいるの?

遠い、遠い宇宙から地球にやってきたパイラ星人(キャラクターデザイン・岡本太郎)は、地球人にこう告げる。

"この星で、大きな原水爆の雲を何回か観た。"
"かつて、自分たちの星も原水爆により絶滅の危機を向かえたが、今は、その過ちに気づき平和になった。"
"世界唯一の核攻撃による被害国なら、話を聞き入れてもらえるだろう。"
"この地球に接近している新天体Rの衝突を免れるためには、原水爆の力で対抗するしかない。"

パイラ星人は、ヒトデのような形をした可愛い宇宙人。
なのに、映画の前半で人間に姿を変えるため、しょんぼり。
物語のテーマは、初代ゴジラ同様、核戦争の危機。
この時代の特撮映画のほとんどが、核、原水爆の危機が描かれている。
鑑賞前とかなり印象が違った作品で、驚いた。
新天体Rが接近するにつれ、天変地異が起こる中、逃げ惑う人々。
防空頭巾を被って地下に避難する。
暑苦しい地下室で、その日が来るのを祈りながら待つ人々。
まだ、映画のあちこちに戦争の傷が残っている。

この映画に込められた、たくさんの平和の祈り。

その祈りが届いたのか、この国は、戦争を一度もしなかった。
もしも、宇宙人さんが地球に来て"どこかおススメはあるか?"と聞かれたら、自分は迷わず胸を張って、日本という国を推したい!

トーキョー!
オ・モ・テ・ナ・シ、オモテナシ!
ピッコロ

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