このレビューはネタバレを含みます
古い年が終わり 新年が始まる
大晦日にはなんだって起こるもんだ
養子のむすめは孤児のために継母の元に暮らす。
同じく国の女王は両親を早くに亡くしむすめと年同じながら、無知と傲慢さによって周りの手を焼いていた。ある日新年の話題から、全ての月が四月であれと望み、待雪草(スノードロップ)をカゴに集めて寄越せばそのカゴに黄金を入れてやるというお触れを出す。雪深い大晦日。家をでるものなどいない。そんな中、継母は にマツユキ草を取ってくるまで帰ってくるなと家から追い出してしまう。
さまよう森の中、焚き火の赤い影に導かれればそこにいたのは、12人の年齢さまざまの男たち。彼らは12の月を司る者たちらしい。待雪草は4月の花、四月の兄弟が杖を持つとあたりはたちまち4月の様相に。心やさしきむすめをいつも森で見かけ気に入っていた12月の精たちは指輪を送り困ったならば自分たちを呼べと申付ける。
マツユキ草を手に入れた継母たちは意気揚々と城へ向かい、さも自分たちが集めたかのように語り金貨を山のように受け取ったが、その場所に連れて行けと女王に命令され、口を割らないむすめをひとり森へ向かわせその後を密かに追う。
追跡に気づいたむすめだったが、逃げた先で女王たちに追いつかれ身ぐるみを剥がれてしまう。指輪までも取り上げられ、湖に投げられ思わず約束の言を唱えると彼女の体はたちまち風にさらわれていく。春になり夏になり秋になり冬になり瞬く間の季節。あるべきものはあるべきところに。
新しい年、新年の赤い太陽が昇る。
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テンポが良くて流れも良い。場面のつなぎが滑らかだし、ロシア語の劇中歌も良い。
・一々の文言が詩的
・おっちゃんの黒いリボンが可愛い
・そこはかとなくアトムヘア
・12月の精は『雪の断章』に出てきたきがする
・おめかしした格好がとっても可愛い
・カラスのくるるるあがすごい
ヨールカ 【yolka】
ロシアの祭の一つで、ヨールカは〈小さなモミの木〉の意。切り出したモミの木に、飾りをつけ、そこに子供たちが集まって年末・年始の祝いをする。一九世紀中頃西ヨーロッパに伝わったクリスマス-ツリーの風習の変形。
(Weblio辞典『世界宗教用語大辞』)
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転がれ 転がれ 指輪よ 春の戸口へ
夏の木陰へ 秋の小屋へ
冬の雪原を渡り 新年焚火へと!