浅野公喜

バニシングストリートの浅野公喜のレビュー・感想・評価

バニシングストリート(1991年製作の映画)
3.2
「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」のティル・シュヴァイガー初主演作である90年代前半のドイツ産カーアクションコメディ。本国では割と知名度が高い作品だとかで、ティルが乗るのは一時撤退したものの今年日本市場に再参入予定(!)のオペルのスポーツカー、マンタ。

日本に負け劣らずの自動車大国・ドイツだけに充実作・・というわけではなく、同じ走り屋映画なら「ワイルド・スピード」シリーズ等に慣れた目にとっては全体的にユルい作風で、脇を固めるのは目当ての女性とデートするものの車(これまたマンタ)を池に水没させてしまう三枚目やメカに強いキャラ、ライバルはベンツ・190Eを乗りまわす金持ちキャラ(原色スーツ)と一昔前の日本の少年漫画のような連中が登場し、最後のハイライトとなるレースは当然ティル演じる主人公が運転するのかと思いきやまさかの三枚目キャラで拍子抜け(笑)。一応決めてくれますが、ティルの存在感の無さよ。

登場人物達のファッションやオペルのパステルカラーなペイントも90年代前半という感じですが、カーアクションは時代を考えればそれなりにスピード感も有り一部ではフェラーリ328GTSも疾走、そして街中でもドリフト&スピンターンを決める等頑張ってはいる方。ややしょうもない一部人間ドラマを削ってレース要素を増やせばより面白かったかもしれません。

オペル・マンタはドイツの耐久レースにおける名物車種(通称マンタ先輩)となっており、そのレースの参戦車両を手掛けているキスリングレーシングが今作のマンタも作ったらしく、今でもイベントで展示されているようです。日本車も登場しますが街角に数台止まってる感じで走り屋達の車には余り混じってないのは時代を感じる所。BGMにはドイツにとっては超重要なスコーピオンズ「Wind Of Change」も使われたみたいですが、どこで流れていたか思い出せません。

更に調べると、今作直前にも6輪車のオペル・マンタを主役にした「Manta Der Film」なる映画も有るそう。どんだけドイツ人オペル(マンタ)好きなんでしょうか(笑)。
浅野公喜

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