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たぶん悪魔がのmikuのレビュー・感想・評価

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)
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死に向かいゆく生に耐えきれなくなった、ということ。彼のように美しくも聡明でもないが、10代の頃からこの恐怖には覚えがある。あの言い知れぬ感覚を形にしてくれた、と勝手に受け止めた。彼のような死を選ぶつもりはまるでなくても、なんだかブレッソンと交われた気がした。寝袋とレコードプレイヤーだけを持ち込んで、教会の屋根裏に忍び込むあのシーンは最高だった。自ら死のタイミングを決めたつもりでも、その気力すら危うくすべては他人任せ。生きるということは死ぬことである、というこの世の定理が彼を殺したのだ、たぶん悪魔が。
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