...ひょっとしてそれはギャグで言っているのか?
無菌室的な厳粛さを極めた映像に突然ぶち込まれる公害問題の生々しさは真顔でおやじギャグを言っているような滑稽さしか生んでおらず、本作をサスペンスフルなドラマからブラック・コメディへと昇華(?)させることに成功している(なお本作のインタビューにてブレッソンは公害問題に対して痛く真剣に述べているのであしからず)。
しかし本作のすごいのは、コメディとしてみても全く上質さを欠いていないことである。固定された画面は余計な思考をシャットアウトし、いまある感情をありのままに増幅させてくれるのだ。これぞまさに演出の粋である。これまで以上にブレッソンのことが好きになってしまった。