このレビューはネタバレを含みます
日本公開最終日に滑り込み鑑賞🙌🙌
ポスタービジュアルがめちゃくちゃ好きでずっと気になっていた作品。
シャルルの感覚にとても共感した、と思う。
生への願望と死への願望がどちらもそれほど強くはなくて、ただ世界を取り囲む悲しみや虚しさを敏感に感じ取ってしまい、毎日を過ごすのにかなりエネルギーを消費して苦痛を感じるから、楽になるためには死ぬのが良くて、でも命がなくなるその瞬間の恐れや痛みを想像すると決定的な引き金を引けないから、最後までその選択を自分ではない誰かや何かに委ねるという中途半端さ。
何となくだけど、シャルルがヴァランタンに最後の頼みをしたのは、彼の悪行への躊躇の無さを冤罪を被せられた出来事を通してある意味信頼できたからだよね。他の友人だとシャルルを引き止めてしまうし、引き止められれば、シャルルは死なない人間だと思う。
感じること、考えること、何かすることに怯えることに飽きて、とにかく全てを終わらせたいという願望がシャルルを含め、街の人々からも滲み出ていた。皆常に疲れ果てている。
ラスト、ヴァランタンが迷いなくシャルルを撃った時、途切れてしまった命がもう元に戻らない虚しさや悲しさと同時にシャルルにとっては良かったんじゃないかという少しの安堵を感じてしまった。(そして終わり方のあまりの潔さに感動してしまった)
当時のフランスでは18歳未満の鑑賞禁止されていたということだけれども、深く納得した。おそらくシャルルのような自死を決行してしまう人が増えることを危惧したんだろうな…。
シャルルの小心さがリアルで良い。
世界に希望を見出そうと奮闘もせず、ただ死という概念に近づいたり離れたりする感覚に陶酔する。ヒッピーの集団から盗んだ銃に装填されていた弾を取り出して見つめるシーンは、手首にカッターの刃を当てるけど決して本当に切ったりは出来ないような情けなさを感じた。
シークエンスやカットの構図がはちゃめちゃに好みだ〜