CHEBUNBUN

たぶん悪魔がのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)
4.0
【静かなる暴力】
ブレッソンの中では、地味な扱いを受けているのだが、暴力描写と鬱度が最高レベルな作品だ。

「少女ムシェット」のウサギ、
「湖のランスロ」の人斬りと静かだが、えぐい描写を仕掛けてきたブレッソンだが、
本作のアザラシ撲殺描写で絶頂の暴力を観客に突きつけた。一瞬の出来事なのに「痛い」。

そして、鬱レベルも極めてくる。
公害蔓延り地球がおかしくなっていた時代、また学生運動しても結局社会が変わらなかった時代の若者によるメランコリーが
音すら感じない乾いた世界を支配する。

先が見えず、ドラッグに溺れ、ヒッピーになり、神すら信じられなくなり万引き強奪していき、自殺まで猪突猛進する。

ある種ブレッソンの世界観を最大限に濃くしたマスターピースと言えよう。
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