元々は、興夫伝（こうふでん）という李朝のハングル小説を基にしたストーリー。興夫伝は、兄ノルブはが欲深く意地悪で，利己主義者の金持ち。弟フンブは善良で情深く，貧乏なのにお人よし。足を治してやったツバメの恩返しにより弟は富や地位を得るが，わざとツバメの足を折った兄は破滅するという筋書きである。

一方で、情慾ノルブはエロコメディ作品であり、ノルブ（キム・キソク）とフンブ（テミン）の兄弟が描いている。ノルブの妻マルジャ（チョン・セヒ）は美人だが淫乱。性格の悪い夫を差し置いて、真面目に働く義弟のフンブを誘惑する。フンブが全く振り向く様子もないことに苛立ち、夫に対して「フンブに襲われた」と嘘をついて、同居していたフンブを追い出させる。

フンブは山で放浪生活を送っていたが、たまたま怪我した天女に遭遇する。天女は、時々人間界に降りてくるが、滝つぼの透き通る水を浴びたくなり、身体を清めていた。ところが、それを見たノルブが天女と知らず美女を襲い、犯してしまう。そのときに足を怪我してしまった天女をフンブは助けたのである。

天女はフンブと結婚することになり、フンブこそが富と地位を得るべきだと言って魔法をかける。フンブが地位を得て、大きな家に住んでいるのを見たノルブはフンブの富や地位を奪おうとして失敗。すると、別の天女を助けようとしてノルブは滝つぼに行き、山賊女主人を天女と思って隠れて足を怪我させて上で助けようとするが、嘘がばれて山賊に捕まる・・・

ノルブはBMWをレンタルしたり、バイアグラを服用したり、時代劇っぽい役柄や服装ではあるが、設定はばらばらで、コメディとして成立しているかどうかも微妙である。ただ、次々と女優たちが脱いでセックスするという農村の明るい性を描いた様子もあり、暗いエロというよりは明るいエロである。韓国語タイトルはエロノルブ伝となっており、こちらのタイトルの方が中身には合致している。

チョン・セヒは当時のエロ女優として名を馳せたという情報は多いが、その頃の作品は今見ることができるものが少ないし、具体的な情報も少ない。ただ、そういった女優の多くは大抵その後活動は続けていないが、チョン・セヒは過去の出演を隠さずにウリにして、2020年代も歌手のドンドンと共にドンドン楽劇団を結成して活躍中という珍しい女優＋歌手である。

他の出演者の中では、ノルブの使用人コドル（ロイ・リー）はマッチョな体格でカッコいい。また天女役の女性は、台詞回しはひどいが、なかなかの美人。結構な気合を入れて制作されてそうだし、まあこういう作品もあるんだなという意味でのスコアと思っていただきたい。