みおこし

ヘンリー八世の私生活のみおこしのレビュー・感想・評価

ヘンリー八世の私生活(1933年製作の映画)
3.8
イギリスを知ろう!映画祭り。
10年くらい前に、チャールズ・ロートンが肉を頬張るビジュアルを見て、あまりのヘンリー八世との激似っぷりに、いつか絶対観ようと思っていた作品。ようやく...!世界史もあの時より遥かに知識がついたので、本当に楽しく観られました。

ヘンリー八世の結婚生活にフォーカスした作品。それも、2人目の妻アン・ブーリンが処刑されるところから始まります。なので、『わが命つきるとも』もしくは『1000日のアン』『ブーリン家の姉妹』を観てから観るとアンとの確執、トマス・モアの処刑など、ヘンリー八世の在位期間のうちの前半のエピソードが観られるので、より作品を楽しめる気がしました。

1933年の作品だというので、正直眠くなっちゃうかなと懸念してたんですが、何のその!画面いっぱいに走るあの緊張感と、テンポの良いストーリー展開に引き込まれ、あっという間の97分でした。
アレクサンダー・コルダ、おそるべし!!こんなに退屈しないで観られたクラシック映画は久々でした。
そして、世界史好きにはたまらないヘンリー八世の人間性の深掘り。信ぴょう性はどれくらいあるか分からないですが、本国で作られているという点(コルダはハンガリー人ですが)、時代も今よりだいぶ古いという点で、かなり忠実に再現されていると勝手に信じています。歴史物にありがちな、「これ本当なの?」という違和感があまりなかった...!
むしろ歴代の奥様方がかなりキャラを立たせて描かれているので、世界史好き&受験生にはぴったり。これ観ておくと、ヘンリー八世周りの知識の暗記が絶対楽になりそう!奥様の名前なんて問われないけど!(笑)
あとは絶対王政時における王様のやりたい放題っぷりというか、周りの家臣たちが初夜前に床を暖めるところまで務めていたという(笑)異常性もよく分かる一本。ヘンリー八世は容易く姦淫などの罪をかぶせて妻の首をはねる残酷さもありつつ、どこか周りの人を引きつけて離さないカリスマ性の持ち主だったとのこと、チャールズ・ロートンが文字通りの怪演で魅せてくれます。
カメレオン俳優とか、なりきりとか、今の時代にも徹底した役作りをするクリスチャン・ベールやマシュー・マコノヒー兄貴、ゲイリー・オールドマン大先生がいらっしゃいますが、本作のロートンはその元祖!
最初の登場シーン、ホルバインの肖像画がそのまま動き出したかのようなそっくりさで言葉を失いました。

マール・オベロンなど、豪華女優陣が奥様役を演じているのも見もの。奥さんはみんなかわいそうだけどキャサリン・ハワードとトマス・カルペパーの悲恋は本当に見てて辛かったなあ...。あの2人の描き方がすごく良かったので、最後のヘンリー八世のセリフがより深く聞こえました。
世界史好きは必見、でも見やすくてオススメ!世界史も教えてくれる映画って、やっぱり偉大。
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