櫻イミト

イーディ:チャオ!マンハッタンの櫻イミトのレビュー・感想・評価

4.5
アンディ・ウォーホルのミューズだったイーディ・セジウィックの遺作。死の数週間前に撮了したフィクション仕立ての自伝ドキュメンタリー。

車を買いカリフォルニアへ旅に来た青年ブッチは、夜の道路を半裸でヒッチハイクするスーザン(イーディー)を乗せる。送り届けた豪邸には母親と召使いがいて、彼女は水の無いプールを部屋にしていた。スーザンはアンディ・ウォーホルのミューズだった華やかな過去を語り始める。。。

見るからに精彩を欠いたイーディーが半裸で思い出を語り、話に沿ってハツラツとしていた全盛期の映像が挿入されていく。

1964年にマンハッタンに出てきたイーディー(当時21歳)は、1965年3月にウォーホルと出会いアングラ映画とファッションモデルで活躍。同年の「ガールズ・オブ・イヤー」に選ばれる一方、ボブ・ディラン(既婚)と出会い交際を始める。しかし翌1966年にはウォーホルと決別しディランとも破局。ドラッグに溺れ翌1967年に入院。そのまま家族のいるカリフォルニアへ戻り病院に通う。

本作の撮影開始はに出演したのはその4年後の1971年。薬は断っていたというが、撮影終了の数週間後にオーバードーズで亡くなった。享年28歳。本作の最後には実際の死亡記事が挿入される。

本作の撮影は1967年にモノクロで開始したが入院で中断。1971年にカラーで撮了した。監督スタッフはイーディーと共にファクトリーで過ごした仲間で、本作は彼女への追悼とされた。

追悼作とするにはあまりにも辛く残酷な姿だった。豊胸したという胸を始終露出したままフラフラと踊り、虚ろに語り続けるイーディー。しかし本作を観た事で彼女の存在は自分の胸に焼き付いた。その生き様から学ぶことはあまりにも大きい。
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