ブラックユーモアホフマン

天はすべて許し給う/天が許し給うすべてのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

4.7
人生だ……。

クリスマス映画。今日寒かったからぴったりだった。クリスマス先取り。

ダグラス・サークはやっぱり、今のフェミニズム的観点からみても全然古くないんじゃないか。本作の主人公は小津映画の原節子っぽいなと思ったり。

夫を亡くし、大学生の息子と娘を持つ女性が、田舎暮らしを愛する年下の男性と新たな恋をして再婚しようとするが、世間の冷たい目に晒され断念してしまう。

そこで、実家はどうするんだとか私たちの気持ちはどうなんだとか言ってた子供たちが、身勝手にも見えるタイミングで母との暮らしを辞め、自分たちの新しい生活を始めようとするという、間の悪さ。この間の悪さと、ああこんなことになるくらいなら信念を曲げず自分の信じた道を進めば良かった…と後悔する感じが、まさに人生だなと。身に覚えがありすぎる。

しかし最後は必ずハッピーエンドになると分かって見ているので安心感がある!笑 こうでなくちゃねー。

【一番好きなシーン】
・水車小屋で、階段を上がろうとして飛んできた鳩に驚いて落ちそうになる、というのを引きのワンカットで見せる。完璧な動線。
・再び水車小屋で、帰ろうとしてマフラーを取ったらせっかく直してくれたポットを落としてまた割ってしまうところ。小道具の使い方も上手い。