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カノンのtsukikoのネタバレレビュー・内容・結末

カノン(1998年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

びっくりするほど久しぶりに観た。相変わらず気持ち悪くて陰鬱でグダグダで最高だった。

かつてパリの馬肉屋だった主人公が、愛しすぎる娘が男にレイプされたと勘違いして殺害。ここまでは前作「カルネ」。「カノン」は服役後の話。

人生がうまくいかないのは全部大好きな娘のせいって思い込んでるキモいおっさんの話なんだけど、全編にわたっておっさんのモノローグが延々と続きます。小洒落てない薄汚い側面を見せたヨーロッパの街で歩くおっさんが愚痴たれ続けるわけだけど、ようやく娘と再会したら目的を果たして自分の気持ちをアブノーマルに補完して終わり。おっさん、ようやく幸せに。

そんな映画のどこにどんな魅力があるのかと思うけど、この映画はおっさんの残念な人生がアンニュイで美しい娘によって一縷の望みを与えられて、それだけのために生きるのもいいかなって思わせる吐き気を催すような希望が描かれています。きもいね!

カメラワークはギャスパーなのでひたすらオシャレで“遅い”し、効果音も再々「バンッ」て衝撃音が入ってて、いちいち大袈裟なのだけどそこがまたわざとらしくてチープで良い。

ただひたすら泥沼を暗く描いてしまうと湿っぽくなるけど、若干コミカルに描かれているとこがまた狂気で「ああ、ギャスパー作品だなあ」とどこかホッとできました。

近親相姦ものだしグロありなので、全くオススメしません。ニッチな映画が大好物な人はどうぞ。
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