MAENOLI

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)のMAENOLIのレビュー・感想・評価

3.8
2020 36

山岳ベース事件からあさま山荘事件までの顛末の映画化。あさま山荘事件は有名だけど、その前に起こった山岳ベース事件が凄惨すぎる。

この人たち、最初は世界を少しでも良くするための革命を目指していた筈なのに、どこでこうなっちゃったんでしょうね…これ死んでいったメンバーたちも、なんで自分が死なないといけないのか最後までわからないままだったと思う。

他人を見下して口先だけで高い理想を語って、なんだかんだ理由を付けて気に食わない人間への暴力や殺人に正当性を持たせる森、永田のやり方、心底軽蔑します。
彼らの言ってることって、ただの難しげな言葉を繋げてそれっぽく見せかけてるだけで実質中身は空っぽ、全然自分の言葉で喋ってない。
殺人を"総括"や"敗北死"という言葉を使って自分に責任がない様に言い換えるなんて本当に下劣。狂ってると言うよりは、ただただひたすら卑劣で姑息で臆病で、とにかく人間として醜悪すぎるとしか表現できないです。
こんな風に仲間を殺しまくって、この人たちが何か世界のために達成出来たことが、たった一つでもあったのか?

ただこういう空気に呑まれると人は簡単に流されてしまうのかと思うと気が滅入ります。自分をしっかり持っていないと、きっとすぐに引き込まれてしまうんだろうな。
もしもこの場にいたとして暴力に加担することを断れるのか、断ったその先に自身の凄惨な死が待っているとわかっていても、他の誰かへの暴力にやめろって言えるのか。きっと物凄く怖いだろうし、難しいだろうと思う。それでも、それをやってはいけないって言えるような人間でありたいし、そういう人間であろうとすることをやめたくない。どんな状況でも自分の頭で考えることを放棄したくない。

3時間近くある映画だけど、熱量が凄くて長さを感じません。事件の全容がかなり詳細に描かれていて直視できないようなシーンもかなり多いので、軽くオススメはできませんが、この国で起こった歴史のひとつとして知っておくべき事件だと思います。 
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