Yasu

黒部の太陽のYasuのレビュー・感想・評価

黒部の太陽(1968年製作の映画)
3.5
新文芸坐の熊井啓特集で。

スクリーンで観ると流石の迫力。黒部の美しき自然と工事現場の地獄絵図が良い対比だったし、決壊した水のシーンは圧巻。三船と裕次郎の小難しそうな顔、悪そうな滝沢修などの顔圧も良い。

お話は関電が協力に入ってる以上、かなり美談にまとまってしまってはいたが、それでも工事の困難さや障壁、自然の脅威などが分かりやすくまとめられていた。

裕次郎父子の姿は、まさに戦前VS戦中・戦後派の争いであり、父親の死をもって迎えたラストは“戦後”の象徴のようだった。
おとっつぁん、今じゃコンプラ1発アウト級。でもあの精神が戦後の脅威の復興を成し遂げる要因でもあった、と考えると複雑な気持ちになる。

随所に容赦なく工事車が木々を薙ぎ倒してるシーン(特にラスト)を添えることで、ただ迫力や人間ドラマを見せるだけでなく、人間の業みたいなものも感じさせる。
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