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『チェイサー』に投稿された感想・評価

真っ黒こげ太郎の感想・評価

2024/12/10 17:11

3.7

時空を超えた殺戮者―――降臨

未来からの殺戮者が今、迫りくる！！！

…どう見てもター○ネーターです、本当に(ry

バイオレンス刑事(デカ)のディランは激しい追撃の果てにストリートギャングの少年ラスティを逮捕する。
その後、証拠を元に他のギャング仲間を捕まえようとするディランだったが、彼らは謎の3人組の手で次々と抹消されていたのだ。
ディランはラスティと共に謎の3人組を追うが…。

少年ギャング達を抹殺する謎の3人組と刑事の戦いを描いた、SF・アクション映画。

「未来からやって来た抹殺者と戦う」というあからさまにモロにアレな内容だし、制作もヌ―・イメージ(Nu Image)の未公開B級映画なので、サイボーグ連中とバイオレンス刑事のドンパチアクションを脳死で楽しむ映画なのかなと思ってたら、思ったより真面目な題材と内容だった。

本作の未来から来た抹殺者が狙うのは、麻薬や銃犯罪に手を染める未成年の犯罪者、所謂ストリートギャングです。
正直な所、他のアクション映画なら敵として出てくる様な連中が主人公達の護衛対象になる展開はノレないものがありましたね。
幾ら複雑な家庭環境下の未成年とはいえ、ギャングから銃を盗んで儲けようとするし、それが原因で起きた銃撃戦で死傷者は出してるわで、危ない悪党には違いないじゃないですか。
寧ろ、「抹殺させときゃいいのに」「狙われてるのは悪党なんだから、ほっとけばよくね？」とか思ってしまいます。

ですが、同様の事を思っている人が沢山居るのを見越してか、抹殺者の正体が明かされる展開において、「抹殺者を送り込んだ人物は…」「実は主人公は元々…」的なのか明かされる。
(因みに抹殺者はサイボーグではありません。メカの片腕を持ったメンバーの一人が居るけど。)
ネタバレ防止のため詳しくは書かないが、本作は「更生」をテーマにしており、「罪を犯した少年達も変わる事が出来る」ということを描いている。
クライマックスの未来が変わる展開や最後のオチはそれを明確に示していると言えるだろう。

…確かに「罪を犯しても未来ある少年なら更生できるよ」という考え方は立派だとは思う。
なんだが、正直今作でそんなこと言われても綺麗事にしか思えないのだ。
だって、冒頭から銃を盗もうとしてヤク中ギャング達と銃撃戦してアパート大爆発させるわ、白昼堂々と盗んだ武器を売ってる所を見つかって警官隊とドンパチ銃撃戦するわ、ギャング団の報復を迎え撃って死人が出まくるわで、これで「更生出来るよ♡」というのは流石に無理がありすぎる！！！
主人公も何やかんやで少年の更生を信じて戦うのだが、少年のやらかしがこのありさまなのでぶっちゃけ盛り上がらなかった。
(まぁ、抹殺者達も一般市民を巻き込んだりするのでどっちもどっちだけど…。)

真面目な題材を扱っているとはいえ、それらに入り込めないストーリー展開なのは実に勿体なかった。
アクションに関しては銃撃戦に火薬爆破、カーチェイスと盛りだくさんで、ヌー・イメージ作品らしくアナログなドンパチが満載なのでそこら辺は楽しめる。
アクション描写はB級映画なりに楽しかっただけにせめて少年達の更生出来そう感を増やすか、更生云々を抜きにして単純に○ーミネーターそのまんまなドンパチアクションに徹するなりすれば良かったのに。

気が付けば文句多めになってしまいましたが、それでもB級ドンパチアクションとしてはドンパチ満載で飽きさせないし、テンポも良く良い暇つぶしになると思うので、興味がある方は平日の夜にサッと何か見る程度にどうぞ。

でも正直、同じぬいまげ(Nu Image)制作&ギャガ販売のB級アクションなら、個人的には「バックラッシュ(1996)」や「バッドマックス」の方をオススメしますね。ｗ