kojikoji

イングロリアス・バスターズのkojikojiのレビュー・感想・評価

3.6
2009年 監督はクエンティン・タランティーノ。歴史の枠を超えて、観客がいつも望んでいたラストを作る。史実ではそうならないと、どんなドラマも最後に修正するところを、タランティーノは全く無視する大胆さ。そこが一番すごいし面白い。

 アパッチ族の慣習にそってドイツ兵士の頭の皮をはいだり、野球バットで頭を殴り、潰すという残虐な殺し方で、残虐な行為を繰り返したナチスを逆に怯えさせるという発想が、面白い。

 突然ヒットラーが出てきて、その恐怖を語り出すところでは、笑ってしまった。

 舞台は第二次世界大戦中のドイツ国防軍占領下のフランス。 
 ドイツ指導者の暗殺を企てる二人の主人公、ナチス親衛隊大ランダ(クリストフ・ヴァルツ)に家族を皆殺しにされたユダヤ系フランス人の女性ショシャナ(メラニー・ロラン)と、ユダヤ系アメリカ人からなる秘密部隊を率いるアメリカ陸軍中尉アルド・レイン(ブラッド・ピット)だ。
女の復讐劇と男たちの戦いは、偶然にもドイツのプロパガンダ映画が披露される映画館て繰り広げられることになる。

 この映画、なんといってもハンス・ランダ役のクリストフ・ヴァルツだろう。一番光っている。
 007スペクターでも最強の敵を演じて007を面白くしてくれたが、この映画はさらに強烈だ。
 特に、冒頭のユダヤ・ハンターの本領を発揮するユダヤ人狩りの怖さは絶品。ランダ大佐が酪農家のラパディットを尋問し、床下にその一家が匿われていることを突き止めるまでの二人の会話は息を呑む。
 彼がとにかく残忍で、憎たらしいから、どんなに残忍な復讐にもやれやれと思っている自分に罪悪感がない。
(※これは子供達には絶対に言ってはいけない、内緒のハナシです。)

2022.11.9視聴-502
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