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イングロリアス・バスターズのjunのレビュー・感想・評価

4.8
タランティーノ映画が好きになったキッカケで、特別好きな映画です。

戦争映画のジャンルですが、特有のアクションはほぼないです。ある作戦を中心に、クセのある登場人物達の、それぞれの思惑と企みが繰り広げられる内容です。

長ゼリフなど、会話劇がタランティーノ映画の特徴ですが、もちろんこの映画もそれです。戦時中の狂気的な価値観の会話が、静かなシーンの中の余韻と沈黙でリアルに感じました。
特に印象的だったのが、ドイツ軍のフレデリックです。国に英雄と讃えられ、自分の戦果を誇らしげに話しますが、自身の行いの正当性を保とうとしている様に見えました。自分に言い聞かせている様で、哀愁を感じました。当時の心情をうまく表したキャラクターだと思います。

もちろんですが、クリストフヴァルツ演じるランダ大佐がズバ抜けて良かった。抜け目なく淡々としていて残酷。だけどひょうきんでかわいい。過激で残酷な企みも、このキャラクターだとラフに仕上がります。メリハリのある表情でこっちもビクッとなりました。素晴らしい演技でした。

一番良かったのは、地下の酒場でのシーン。一瞬の表情と視線のカットや、背景の談話の賑やかな中の静寂な表現など、緊迫した状況がリアルに感じました。何度観てもヒリつくシーンです。

そしてなにより、マイケルファスベンダーはやっぱり男前。煙草を一服しスコッチを煽る仕草に見とれてしまいました。
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