B姐さん

飢餓海峡のB姐さんのレビュー・感想・評価

飢餓海峡(1965年製作の映画)
-
ストーリー自体は今になってしまうと壮大で重厚感のある「2時間ドラマ」に見えてしまう。その点で『砂の器』より風化してしまっている。
終盤のサスペンスの放棄(樽見は犬飼なのかという推理部分)も「人間ドラマ」に力点をおいたからだろうか(小説を読んでいないのでわからないが、wikiによると原作の水上勉が“推理作家から社会派の作家へと移行する時期の作品” らしいので、脚本の鈴木尚之が原作にそって忠実に構成を組んだということかも)。

しかしこの映画の力は役者の「顔」だ。三国連太郎の顔、伴淳三郎の顔、藤田進の顔、高倉健の顔、加藤嘉の顔、沢村貞子の顔。(三国の1ショットなんてロシア映画を観ているみたい)。これを観ているだけで183分があっという間だ。
下北半島などのロケーションと戦後東京のセット美術も素晴らしいし、官憲から逃げる左幸子を追うカメラワークもすごい。
もうひとつの見所は左幸子の、ひとり「爪」プレイ。
これは初めて観ました。

DVD(10/2/2014)
B姐さん

B姐さん