飢餓海峡の作品情報・感想・評価

「飢餓海峡」に投稿された感想・評価

まこと

まことの感想・評価

3.9
十年の歳月を経て

真実は海を越え山を越えて

ようやく白日のもとに晒される


女は文字通り「爪痕」を残し

男は重い重い悲壮感を抱きかかえ

澪の底に沈んでいく
Tyga

Tygaの感想・評価

3.8
信じること、信じ続けることの難しさ。
そして、すべて水泡に帰す。
しかし、そこに命の炎が燃えていた証の灰がのこる。

冒頭の北海道の列車からの逃走と津軽海峡の一連のシーンからはじまり、緊迫感で一気に持っていかれる3時間。

ただ、序盤の点と点が繋がっていくサスペンスな感じや、八重のパッション溢れる愛でぐいぐい押してくる中盤と来たので、人間の業を炙り出す終盤の刑事たちの追い詰めの甘さが多少気になった。
なお

なおの感想・評価

4.0
超大作映画!
モノクロで3時間はしんどいかと思ったが
あっと言う間の3時間で、何より話がめちゃくちゃ面白い。

歴史に残る傑作映画。
アメリカが、風と共に去りぬ
フランスが、天井桟敷の人々
とするならば、
日本はこれだと思う。

七人の侍の方が良く出来てはいるけど、日常が舞台なだけに、リアルさや戦後直後の日本を知れる面白さなどは こちらの方が上かもしれない。
古臭い演出や、説明過ぎるセリフは多々気になるが(独り言が多いw)…丁寧な話運びでとても分かりやすい。

貧乏故に起きてしまった悲劇。
同情の仕方が日本的で海外には無い様な展開がとてもいい。

これこそまさに埋もれてしまった名作だと思いました。
って私が知らなかっただけかな〜( ̄▽ ̄)笑
小指の爪だったら証拠にならなかったのに…

弓坂刑事が犬飼に言った〝あんたが歩んできた道には草も木も生えんのですか?〟が心に響いた。
せめて自分の歩む道に苔ぐらいは生やそう!
Kuma

Kumaの感想・評価

3.3
「ああ無情」のジャンバルジャンさながらのストーリー。
長い、とにかく長い。しかし重厚で、さりげなく進む展開が面白い。

ラストの後味の悪さ…でもだからこそ、この物語に救いが見える気がする。
初めてスクリーンで鑑賞。久しぶりに見たのでストーリーの細部を失念しており、とても新鮮。
三國、左、伴の演技合戦に酔いしれる。
こんなに激しくカメラが動き回っていたとは。
三國が演じた犬飼という人物の闇の底知れなさ。全編を覆う濃密な死の気配。
傑作中の傑作。独り言の説明セリフがちょい気になった。それ以外完璧。
1979年12月16日、高田馬場・ACTミニシアターで鑑賞。

三国連太郎の犬飼多吉(あるいは樽見京一郎)、左幸子の杉戸八重、伴淳三郎の弓坂刑事、この3人を中心に物語が成立している。
この3本柱は骨太であり、青函連絡船での事件から舞鶴まで、一気に見せてくれるドラマは見どころ多数。
犬飼が八重に初めて会うトロッコであるが八重が差し出した握り飯をむさぼり食う犬飼、青函連絡船遭難事故のタイミングでの殺人を想像する弓坂刑事の反転映像、青森県恐山の異様な雰囲気などなど、素晴らしい場面の数々は忘れられない。

水上勉の推理小説を映画化した作品であるが、原作は映画を観てから読んだ。こちらも良かった。

東映が誇る日本映画の傑作である。
派手なシーンが出にくいサスペンスにおいて、地理的条件により、緊張感を維持する。三國連太郎が見事。
HACHI1965

HACHI1965の感想・評価

5.0
HDリマスターを強く希望する。原作水上勉、監督内田吐夢、俳優陣には三国蓮太郎、伴淳三郎、左幸子、高倉健等まさに夢の競演。邦画超大作にして傑作上映時間3時間と長いが、鑑賞してない多くの方々に強くお勧めしたい、そう思わせるだけのもの凄い作品。

"この世で最も恐ろしい生き物は、欲望、好奇心、畏れと云われる"業"を抱え持つ
人間だと知らせられる"
内田吐夢作品と言えば「宮本武蔵」五部作。
なぜなら、地元放送局KBS京都でこれが年末年始に朝から晩まで「猿の惑星」シリーズなんかと隔年くらいのペースで放送されており、幼き頃にそのヘビーな時代劇をおばあちゃんと蜜柑食べながら一緒に見て強烈に刷り込まれている。
当時KBS京都はあの許永中の持ち物であったわけだが、東映の不調時の救済に、またKBSの番組編成の弱さから、放映権を買い叩いていたのではないかと想像する。

本作は長らく弟から勧められていたのだけど3時間の長尺ゆえ手が出ず、
「宮本武蔵」シリーズの監督と最近認識し、漸く観ることに。

津軽海峡を襲う暴風雨と青函連絡船の転覆事故。
そして大火。
すわ、ディザスタームービーかと思わせるエキサイティングなオープニング。

函館、下北、東京、舞鶴、
物理的な距離と長い年月を超え、
女の純粋な感謝の念と男の隠し切れない業が産むドラマ。
2人の邂逅シーンの果ての姿があまりに壮絶。

三国連太郎の後半のシレっとした佇まい。
左幸子の幸福に対する無垢な祈りと感謝。
伴淳三郎の訥々とした沈んだ表情。
高倉健の真っ直ぐな正義感。

詳しく語れる知識は持たないが、水上勉原作の所謂社会派ミステリーの萌芽を映画作品に初めて昇華させたのが本作なのだろうと思う。
後の松本清張原作の作品よりも前に、内田吐夢監督が乾坤一擲を放った完成度の高さに驚かされた。

コメディアンとして大成功を収め、50歳超えてかようなシリアス作品に挑んだバンジュンこと伴淳三郎。
なんでも、内田吐夢監督からはボロカスに演技指導されたらしく、その憔悴し切った表情が作品に出ているという。
監督の力量を思い知るエピソードだ。

洋邦問わず社会派ミステリーやサスペンス作品の頂点に立つような情念に満ちた傑作。


〜〜

東映W106形式なる手法で寒々しいザラつきのある映像を作っているらしい。

いつ見ても爺役の加藤嘉。
本作公開時はまだ52歳くらい。
ボロボロの貧乏爺一択の役者人生恐るべし。

冨田勲の音楽も素晴らしい。
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