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日本の夜と霧のZUSHIOのレビュー・感想・評価

日本の夜と霧(1960年製作の映画)
4.5
池上彰・佐藤優『真説 日本左翼史』で紹介されていたので、鑑賞。
逆に、この本で共産党の50年分裂・60年安保の背景を知っていなければ、何のこっちゃ?で分からない映画であったことは間違いない。
ただし、セリフとちりまくっても、そのまま長回しで撮り続ける緊張感ある映像も、ある種のドキュメンタリックな実験映画のようで面白い。
当時の大島渚監督の直接的なメッセージは発されないものの、最後の空疎な演説(「国際派」の日和見主義的な、「大人な」現状認識)に対する、人々の反感の視線を見れば明らかであろう。
ブント過激派の津川雅彦にシンパシーを感じさせるように描かれていて(のちの津川雅彦が保守に傾くのも皮肉だが)、当時の共産党を非難していたことは明らかなのだが、それにしても「政治の季節」の最中にこのような政治ど真ん中な映画を撮って松竹を辞めてしまう大島渚監督のパッションの強さを感じた。
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