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Start Lineのuuukyeeのレビュー・感想・評価

Start Line(2016年製作の映画)
4.2
足首のギプス取れた祝いとして、仕事帰りにサクッと観てきました。

パラリンピックの開催に伴い、各競技に関するニュースがメディア媒体を賑わしている現今。様々なハンディを乗り越えて活躍されているアスリートの方々の姿は、スポーツの枠を超えて人として美しくとても感動しますが、普段の自分に対して向き合わせるのは億劫で、磁石を近づけられたコンパスの指針の様に、つい目を背けてしまいます。

だって想像とか思考が追いつかないんですもん。
どれだけの困難を乗り越えているのか、どれだけの努力をしてきたのか。自分だったら…と。いや本当に見習わないといけないですね。

本編の内容に入ります。この作品は聴覚障がいのある今村監督自らが日本を自転車で旅する様子を収めたドキュメンタリー映画です。
予め言っておくと、今村監督自身は上記のアスリートの方々ほど心が強くはない様に見えました笑。けれど、だからこそ比較的に親近感が湧きやすく、等身大の投影に感情移入がすっと出来ました。

自分の中の見えない敵と戦いながら、勝ったり負けたりして人間は成長していく生き物だと思います。誰しもが大なり小なり悩みを抱えていると思いますし、理想の自分像があるはずです。けれど中々簡単に人は変われず、理想はいつも遥か遠くである事を私たちはよく知っています。

しかしながら、本作での旅を通じて目にする今村監督の心の葛藤は、ableだからとかdisableだからとか関係なしに1人の人間としての”それ”であって、立ち止まってもがく生身剥き出しの姿には、心から共鳴を覚えました。

この作品を通じて、自分も!と奮い立つための新しい指針を貰うことが出来た気がします。
とりあえずリハビリ頑張ろう笑。
旅を通じて出会う人たちとの交流もまた乙なポイントでした。

p.s. ”英語”ではここ最近こういう表現をする時にchallenge(d/ing)などポジティブな言葉を使う様になりました。日本では、電車の中などで”害”の字が平仮名になっているだけで、僕なんかはどうもその言葉にネガティヴなイメージを持ってしまいます。ここはひとつ欧米に習い、ポジティブな呼称を考えてみてはどうかなーと案じてみます。
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