ミサホ

アウトレイジのミサホのレビュー・感想・評価

アウトレイジ(2010年製作の映画)
4.1
北野武監督の最新作『首』の二回目の鑑賞を控えて、十数年ぶりに本作を観ることにした。細かいところはすっかり忘れていたので、楽しめた。

初期の頃の、静謐さや独特の“間”は控えめである。現代っぽいヤクザの世界が窺える。北野監督がよく描いたヤクザの、沖縄で時間をもて遊ぶほどの「暇さ」はない。あれこれ忙しそう。

この作品に関しては、役者選びというか、役の当て方が絶妙だ。三浦友和であったり、加瀬亮であったり、品の良さで勝負!といった印象の人たちを黒い世界に放り込んだ。

そして、それとは対象的に、重鎮の國村隼と石橋蓮司を遊ばせてるのがおもしろい。二人とも、他の監督であれば、こんな使い方しないよね。

それくらいふざけてる。

会長の関内(北村総一朗)は、部下を対立させ、煽り、混乱させる。たけし演じる大友も好きなように弄ばれる。失態は落とし前をつけなけゃなんない。その代償として、指を落とす。

本作はまさに『指』である。
死にはしないけど。

あと板谷由夏の出演には少し驚いた。一回目観たときは気付かなかったなあ。彼女、スポーティでお洒落な印象だから、ヤクザの女というイメージはなかったけど、死に様がダサくて良かった。

小日向さんも相変わらず、飄々とした中に、自分の手は汚さないという計算高さと狡猾さを合わせ持った刑事を好演してた。…いや怪演だな。

それぞれの組織の思惑、裏切り、出し抜き…その中で生き残るのは果たして誰なのか!

こうして改めて観ると、やっぱりおもしろいな。北野作品は、断然、初期やで!と思っていたけど、いやいや…十分過ぎるほどおもしろい。
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