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アウトレイジのmitakosamaのレビュー・感想・評価

アウトレイジ(2010年製作の映画)
3.6
TAKESHIS、監督ばんざい、アキレスと亀、とアート嗜好の高い映画を撮り続けた反動か、一気に娯楽作路線に振り切った印象。

今まではヤクザ映画でもセリフが少ない情緒的な映像美が売りだったのに、もうバカヤロウコノヤロウ怒鳴りまくってる。
たけしの言う“振り子の法則”って奴だな。1つに振り切れば逆方向にも振り切れる、という考え方。自分の作風に評論家が定義付けをしたら、その逆を攻めるという天の邪鬼っぷり。

娯楽に割り切った暴力映画だけにタランティーノみたいにもなってきた。
そして痛々しい描写もアホかって言うくらい多い。やっぱり中野英雄のカッターのシーンと石橋蓮司の歯医者のシーンはイヤーンだなぁ。

山王会なる巨大暴力団の下部組織で池元組があり、さらにその配下の大友組。この大友がたけし。
ヤクザ組織でありながらかなり中間管理職的な理不尽さに見舞われる。実際のヤクザ社会もそうなのかねぇ?

キャスティングも役者のイメージと逆の役を当て込んでいるのが多い。
人の良さそうな小日向文世に腹黒いマル暴刑事。
おとぼけ役の多い北村総一朗に山王会の大親分。
誠実そうな役の多い三浦友和に山王会の若頭。
國村隼、 杉本哲太などもヤクザのイメージはあまり無かった。
こういうミスマッチなキャスティングを意図的に行い従来の役者のイメージを壊す手腕は流石だわ。

一方で椎名桔平なんかは本当に格好良い。スーツも誰よりもパリッと着こなす。かなりキーマンになる加瀬亮も良い感じのインテリヤクザを演じてる。

立場が上のヤクザにボッタクリをしかけて大問題になるとか、アフリカの小国の外交官を脅してカジノの元締めをやるとか、ドギツイ暴力の中にもなんか笑ってしまう様な設定も面白い。緩急の上手さも北野節ですな。
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