EDDIE

アウトレイジのEDDIEのレビュー・感想・評価

アウトレイジ(2010年製作の映画)
4.4
全員悪人。ヤクザ者。世界の北野。組としてのケジメ。これは日本版ゴッドファーザーや!

とにかく人がたくさん死ぬ。バイオレンス映画の境地。
私ヤクザものってあんまり好んで観ないんですよね。結局暴力で解決するんでしょ?的なところで、ある意味軽蔑してしまうわけです。だけど、矛盾するようですが、少し憧れもあるわけです。もちろんこんな恐ろしい世界絶対に入りたくはないんですけど、絶対に自分が足を踏み入れない場所だからこそ怖いもの見たさみたいなところはありますよね。
だから本作のようなヤクザものに出演している俳優で似合っている人に憧れちゃうんですよね。水野役の椎名桔平とかめちゃくちゃカッコいいですもん。

作品自体は北野武監督がある意味原点回帰して、ヤクザの縄張り争いをバイオレンス描写をふんだんに使って表現するわけですが、最初は若いもんが仕出かしたことに対するケジメとして親分が出ていく。そこからの狡猾な騙し合いが始まるわけです。
たまにセリフまわしがアホっぽいところもあるんですが、そこも含めてご愛嬌とばかりに面白い。
途中からは誰を信じていいかわからないぐらい敵味方が乱立してくるんですが、この見せ方が実に巧い。

最終的に笑うのは誰なのか。ラストの騙された感と爽快感は異常とも言えるレベル。
しかもこのヤクザ間の縄張り争い、生き残りをかけたサバイバルゲームは、実は会社の出世とも上手く比較できる点がいい。
なんと言っても組に忠実に従うだけの人間が最後に笑うことはできないところ。裏で様々手を回して出し抜ける人間が生き残り、そして上に登りつめていくんです。

石橋蓮司演じる村瀬の歯医者のシーンはあまりにもバイオレンス描写が過ぎて記憶に焼き付いてしまいますが、あそこまでやるともはや笑ってしまうレベル。
あと肝心の北野武が大根役者で、まぁわかってたことなんでさほど気にしませんが、気になるがな!國村隼演じる池元と啖呵切ってやり合うシーンは失笑してしまいました。

『アウトレイジ ビヨンド』『アウトレイジ 最終章』と三部作で構成されるこのシリーズ。日本映画専門チャンネルで放送されたのをきっかけに録画しましたが、最高に面白かったので続編も楽しみです。
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