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ココ・アヴァン・シャネルのuriのレビュー・感想・評価

ココ・アヴァン・シャネル(2009年製作の映画)
3.6
20世紀初頭の革新的なファッションデザイナー、ココシャネル。本作品は彼女の孤児院で過ごした幼少期からデザイナーとして仕事に就くまでの生涯を描く。

この時代、女性が着ていた服は女性らしいラインを強調したウエストを絞る形のものでコルセットを着用していたため、非常に動きにくいものであった。シャネルはあえてその制約を取り払い、ウエストのゆったりとしたワンピースや男性のジャケットやパンツを基本にした動きやすいマニッシュな形の服を作り上げた。「瞳の色に合う」と黒が女性を魅力的に見せることを伝えたのもココであった。
元々仕立て屋で働いていた彼女が帽子屋、さらに女性ファッション全般を扱う店のオーナーにまで成長を遂げたのは自身の生まれ持った、並外れた感性であろう。

本作品では男性優位の社会のなかで、男性は性に強欲、女性はそれに応えるのが役目という状況がいくつも描かれており、どの国でも長い歴史の中で男尊女卑が続いていたことは言うまでもない。
当時もまだまだ男性に気に入られること、役に立つこと、愛され大切にされること等が、女性の義務であるという考えが主流だったように思えるが、その中で誰に対しても強い自己意志を貫き常に自信を持っていたココは逞しくあった。

男性に依存することを嫌っていたか、といわれるとそうでもなく、ボーイと恋に落ちるシーンでは乙女らしく淡い恋心を寄せている可愛らしさも残っていたのが印象的。

ちなみに主人公のココ・シャネルを演じたのは日本でもアメリで人気を博した女優、オドレイ・トトゥ。煙草を片手にマニッシュなスタイルで仕事に勤しむココは明るく可愛らしいレトロなドレスに身を包むアメリとは雰囲気がガラリと変わるが、見事に演じきった彼女の演技は実物である。
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