ポンコツ娘萌え萌え同盟

怪盗まだら蜘蛛のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

怪盗まだら蜘蛛(1954年製作の映画)
3.4
タイトルと展開に見事に騙された。『まだら蜘蛛』名乗る怪盗が屋敷を騒がすというエッセンスが良い。軽快な動きで木から木を伝ったり、屋根の上での戦いなどそれだけでも怪人の雰囲気はバッチリだ。最序盤のずっと鳴り響いてるという尺八の音もこれからの展開の雰囲気に一役買ったかもしれない。

ただ本作はいわゆる復讐劇的な作品にあるけれど、それとは別に金四郎と縫之助の関係性は注目の的だ。まだら蜘蛛こと縫之助と金四郎は友であり敵対関係を交えるのも、その手のオタクにとってはたまらない。
かと言って本作が全面的にその要素を打ち出しているわけではないのだけど、夜でのサシの会話からの戦いの場面は最高だ。安さん(縫之助)と金さんとしての会話、そして縫之助と金四郎の会話としてでもある。だけど優勢に立ったはずの縫之助が彼を討つことができないのは、敵対関係である前に安さんと金さんとしての関係もあるので、ああやっぱり同一人物なんだなぁと感じた。

演技自体は主役の黒川弥太郎演じる縫之助はもちろん、一番印象に残ったのが霧立のぼる演じる、お半だった。もちろん物語の見せかたもあるけれどあるシーンとシーンでの一瞬の切り替りが素晴らしい。