ポンコツ娘萌え萌え同盟

朝から夜中までのポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

朝から夜中まで(1920年製作の映画)
3.7
ドイツ表現主義映画からしか得られない栄養がある。
表現主義映画といえば個人的に2通りあると考えていて、一つはヴィーネみたいな内面を空間に反映するな表現主義。もう一方でムルナウみたいな心理描写の演出的に見せる表現主義。
『朝から夜中まで』は前者の空間的な表現が印象的だった。空間に存在するオブジェクト、特に印象的な扉の歪みっぷり。
幻想的であり、それでいて黒い背景の空間形成において無駄なオブジェクトが殆どない。
どっぷりと表現主義の美術に世界に浸かれるのが何と言っても本作の肝でしょう。

本作のスジが一目惚れした女のために銀行のカネに手を付けて、巨万の富を手にした窓口係の男の顛末までを映す。
窓口係の男にとって日常とかけ離れた"非日常"の物語であり、歪みに歪んだオブジェクトで形成された映像世界は"非日常"そのものである。

オブジェクト以外で心理と言えば本作で何回も多用される登場人物が一瞬だけ髑髏に変化し男が驚くのはモロな演出。
ただそれらの場面よりも同じような映像が繰り返され姿が歪んだ、全く面白く映してない自転車レースこそ主観じゃないだろうか。むしろその姿よりも観客の盛り上がりの方が面白いくらいだ。偽りの充足とはいはいお金があり、賭け事に情熱かけようともそこに面白さはない。
むしろ男や他座敷より一般観客が多い天井桟敷の席が大盛り上がりしてるのなんか皮肉的。


余談だけど演出で一瞬おっぱいが出たのは見逃してませんよ…