このレビューはネタバレを含みます
ジョン・フォーセット監督によるホラー作品である本作は、思春期を迎え何かと衝突ばかりを繰り返していた娘のサラとともにニューヨークから別居中の夫・ジェームズが暮らすイギリスのウェールズ地方の海辺の家へと訪れるも、その翌日、浜辺を散歩していたところサラが突如として行方不明となったことで娘の捜索に奔走する中、謎の少女・エブリスと出会ったことで、この地に深く刻まれた過去の忌まわしい出来事と自身が犯した娘に対する罪と対峙していく母親のアデルの姿を追ったものとなっているのだが、雰囲気は悪くはないです。ウェールズ伝説に基づく独自の信仰を持っていた集落の教祖が信者を洗脳して起こした50年前の出来事によってアデルら家族に悲劇が訪れる展開や、娘の生存を信じてやまないアデルと、連日の捜索で娘の死を悟ったジェームズによるすれ違いなど、楽しめる要素もある。ただ、全体を通して盛り上がりに欠け、恐怖心を煽られるようなものもとくにないですし、終盤に二転三転と展開を見せるも想像を超えずに物足りなさで胸がいっぱいに。マリア・ベロやショーン・ビーンといったキャスト陣のネームバリューは惹かれるものはあるが魅力的とまでは思えなかったですし、率直な感想としては、それなりの一作。見どころは羊の群れが崖から飛び降りるシーンくらいですかね。片手間程度の視聴が好ましいのでは。
