あんじょーら

スーパーバッド 童貞ウォーズのあんじょーらのレビュー・感想・評価

4.6
セス(ふとっちょでちょっと悪ぶった口だけキャラ)とエヴァン(おとなしそうで奥手)は高校卒業を2週間後に控えた友人で、残念ながら彼女もいないさえない高校生です。それぞれ意中の彼女はいるものの、今のところ何のアクションも起こせていませんし、もう1人の仲間であるフォーゲル(見るからにもやしっ子)にいたっては全然相手にされていないようです。そんな3人は高校卒業パーティに呼ばれることも無い、いわゆる負け組みな存在ではありますが、なんとか彼女をものにして童貞を卒業したいと息巻いています。そんな彼らに卒業パーティにに呼ばれる変わりにお酒を調達することになり・・・というのが冒頭です。


彼らは都合の良い妄想に踊らされているいわゆる『童貞臭』の強い子供なんですが、しかし身体は大人であるわけです。なんとかこの葛藤を乗り越えるべく、つまらない噂やホラをそのままに信じてしまって自ら敷居を挙げる行為に走っているいわゆるボンクラなんですが、そのボンクラを経験したことがある(多分男子であった経験があるなら、それも外見が良いとか、スポーツが飛びぬけて上手いとかいうモテ要素が無かった大多数の人間なら!)なら理解できるであろう『愛おしさ』を感じさせてくれます。というか、なんかすごいキャッキャ感があります、同性だけの場合の他愛なさをきちんと描いています、男性なら誰もが通る道なんでしょうけれど。


ネタバレなしなんですが、とにかく出てくる人物のキャラが立ってます!エッジが効いていて素晴らしい。個人的にはやはり警官2人組の両方が素晴らしかったのと、主役のセスとエヴァンよりも、フォーゲルが良かった気がします!あと警官のセス・ローゲンじゃない眼鏡をかけている方のビル・ヘイダー!凄かった!


ストーリィも、ギャグも、キャラクターも、そして音楽も素晴らしかったです。ヴァン・ヘイレンやセルジオ・メンデス!良かったです。なかでも特に、最後の最後、親友同士のエレベーターでの目配せをバックにかかるカーティス・メイフィールドの曲がとてもイイです。その直後のエンドロールの画像(ええ、まさに中学男子の妄想力!)がまた凄すぎるんですが。そういう感傷をすぐにふっとばす辺りも見事。


そして、何よりこの映画を見た方なら同意していただけるのが、この映画を表す一言『マクラビン』です。


お馬鹿な男子の妄想と現実を映画に纏めた作品、男子だった方に、オススメ致します!



という素晴らしさを、手にとる機会を、著しく削ぐこの邦題の付け方・・・売る気も無いんでしょうけれど、これは製作者サイドに失礼にあたる行為だと思います。似た例はいっぱいありますけれど、ジョージ・ハリスンの「Extra Texture」を「ジョージ・ハリスン帝国」にしたのと同じ怒りを覚えました。ソニー・ピクチャーズさん、酷い仕事してるね。


なので一応私が邦題をつけるならば、「マクラビン!」です。意味は見てもらうしかないけど。