ギャス

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップのギャスのレビュー・感想・評価

3.4
久々2度目。やはり面白い。今見るからこその面白さがある。

途中、満を持して登場のバンクシーがカッコ良すぎるが、いわゆるバンクシーについての映画ではない。

ある映像マニアの男の行く末(!)をたどり、結局アートとは何なんだ?を問う。

しかし、その男にまつわる皮肉に満ちた視点がしっかりバンクシーであり、そこから引き出されるバンクシーが語るアートについての言葉は興味深い。つまり、しっかりバンクシーのドキュメンタリーだ。

最後まで見た後、おそらくタイトルの意味であろう「グッズ売り場を通らないと出られないようになっている展覧会や美術館」、つまりお金とアートの切っても切れない関係性についても考えさせる。

アートとは。アーティストとは。認められるとは。成功とは。

ネタバレ感想
徹底的にティエリを馬鹿にしているようなバンクシーの言葉だが、ティエリが人々の求めているようなわかりやすさのおかげでもてはやされたことは事実であり、それも"一種の"アートであることは否定できないのでは?
もちろんティエリの"コピー的作品"の数々に個人的には冷笑してしまったが、軽薄であれ、あれだけの多作は何かの才能がないと作り出せないだろう。そして、ウォーホールなどを思い出すと、"コピー的作品はアートではない"と断定することもできない。

ティエリがセンセーショナルにデビューできた背景にはバンクシーの宣伝文句と協力があったのは確実だ。この映画はまるで、バンクシーがティエリの"虎の威を借る狐"から、虎の威をはぎ取るために作られたように思えた。

しかし、この映画以降MBWは活動できなくなったのではと思ったが杞憂だったようだ。この映画でさらに有名になった彼の個展が今でも開かれている。もちろんグッズ販売と共に。個展開催関連イベントとしてこの映画も再上映されるというしぶとさだ。
アートとは…
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