人類ほかほか計画

新マニアックの人類ほかほか計画のレビュー・感想・評価

新マニアック(1984年製作の映画)
-
わしはキャロラインマンローがかなり好きなんだけどそれはなんでかというと、なんかいい人そうだから。
キャロラインマンローは昔のB級ボンクラ映画好き少年にとっての、ラクエルウェルチの次の時代のセクシーダイナマイトお姉さん代表みたいな存在らしいんだけど、なんかそういうB級ホラーとかB級SFとかの映画にずっと出まくったキャリアなのはめっちゃいい人だからって感じがするのが好き。
いちばん若いころの『シンドバッド黄金の航海』とかのころはまだ普通に正統派エキゾチック美女って感じなんだけどだんだん顔がというか目つきがというか眉毛の角度がというか、きつーい感じになっていって、それはなぜか永井豪の描くヒロインの初期の絵柄と後期の絵柄の違いにそっくりなんだけど、そんなきつーい顔をしていても笑顔とかに人柄がにじみ出ていて、やっぱりいい人そうな感じが、なんか好き。

でジョースピネルという『ゴッドファーザー』とか『ロッキー』にも出ているこの映画の主演のおっちゃんがキャロラインマンローの熱烈ファンで『マニアック』に続いてマンローに自分の映画に出てもらってるらしいんだけど、そうやって出てくれるところがめっちゃいい人そうで好き。

でこの映画はデパルマ『ファムファタール』アベルフェラーラ『ドリラーキラー』フェリーニ『8 1/2』マイケルパウエル『血を吸うカメラ』ウェスクレイヴン『スクリーム』シリーズなどを混ぜたようで混ぜてないような、呑気にとんがったゆるコメディ映画で好き。

「映画愛」「映画愛」って人は簡単に言うけど、映画愛っていうのはなあ、こんなにキモいんだ! オレの映画愛のキモさを見ろ! ……みたいな姿勢が好き。

原題が「ラストホラーフィルム」で「ラストアクションヒーロー」や「ラストムービー」を思わせる好き。

実際の80年代の浮かれたカンヌの様子を撮ってるし、キャロラインマンロー演じる女優の写真を主人公が自室の壁にいっぱい貼ってるんだけどそれが普通に『スタークラッシュ』とか『ドラキュラ72』とかキャロラインマンローの過去作だし、メタ構造でちゃんと遊んでる好き。

そんな最後の台詞ある?っていう何もかもどうでもよくなってしまう魔法のような最後の台詞好き。

いっぱいポップソングが流れるけど大半がドラマ『フルハウス』のオープニングソングの人ジェシーフレデリックが手がけたこの映画のオリジナルソング。
スクリーンを前に座っている二人のラストシーンでストップモーションになり『ジャズシンガー』のアルジョルソン「マイマミー」っていう映画史的選曲。