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宋家の三姉妹のBOBのレビュー・感想・評価

宋家の三姉妹(1997年製作の映画)
3.5
20世紀前半、激動の中国を生き抜いた宋家の三姉妹の半生を、マギー・チャン、ミシェル・ヨー、ヴィヴィアン・ウーの豪華共演で綴った大河ドラマ。

「革命とは愛である。愛もまた革命である。」

大変恥ずかしながら、中国の激動期に、これほど影響力を持った三姉妹が存在していたことを知らなかった。驚きの事実だった。

長女は国内有数の財閥の御曹司・孔祥熙、次女は中国革命の父・孫文、三女は後の中華民国総統・蒋介石とそれぞれ結婚したという伝説の宋三姉妹の物語。

時代に翻弄されながらも、自らを偽ることなく、三者三様の生き方をした宋家の三姉妹。政治的思想や結婚観などを巡って、度々衝突し、絶縁状態になりかけることもあったが、互いを思いやる心だけは決して失わなかった。強くてしなやかな生き様と姉妹愛に心打たれた。

マギー・チャン、ミシェル・ヨー、ヴィヴィアン・ウーのトリプル主演という"伝説"的キャスティングも大きな見所。「いつかあなた方の映画が作られるでしょうね」という記者の問い掛けに対して、「私達以上の女優はいないわ」と3人が顔を見合わせながら答えるという終盤のメタ的なシーンが印象深い。ソフィア・コッポラ監督『マリー・アントワネット』の「パンがなければケーキを食べればいいじゃない、なんて言わないわ」発言ではないけれど、女性監督が描く女性たちの物語だからこそできる粋な演出に思えた。

惜しかったのは、中国激動の約50年を2時間そこそこに纒めなければならないということで、歴史ダイジェスト的になってしまっていたこと。ある程度仕方がないことだとは思うが、時代がバンバン飛ぶので、何度か感情が追いつかなかった。中国の厳しい検閲による影響か、多くのシーンが削られてしまっているような印象も受けた。

一番残念だったのは、マギー・チャンとミシェル・ヨーの声(広東語?)が吹き替えられていたこと。その言語が理解できようができなかろうが、本人の声でないとその人物の心がちゃんと伝わってこない。これも感情移入しづらかった大きな原因。

中秋の名月🌕に月餅🥮。

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