残酷な世の中に対しての抵抗としてのヒューマニズム。
他者への慈悲を忘れずに生きて、成功者となって皆に辛酸を舐めさせる悪者をこらしめても、全てがハッピーに着地する訳ではない人生の残酷さ。
溝口健二監督は女性映画の巨匠ということだけど、個人的には虐げられてる全人間の映画だと思った。
よく見ると家族愛、復讐、政治、貧富の差、他者に辛辣な世間と、弱い立場の人間が到底太刀打ちできない現実を叩きつけてくる。
こういうリアリティも物語の重厚感を増している。
そして何より画のパワーが圧倒的。
ポスターにもなってる湖のシーンは、どうしようもなく哀しいシーンなのに、浮世絵みたいな綺麗さ。
観た、というよりも、魅入った。