青山

ザ・ベイビー/呪われた密室の恐怖の青山のレビュー・感想・評価

3.7

福祉事務所で働くアン。新しく担当になったワーズワース家を訪ねると、そこには母親と長女、次女、そして体は大人なのに赤ん坊として育てられていて話すことも歩くことも出来ない弟の"ベイビー"がいて......。


なぜかU-NEXTで観られる変なB級映画ですがなかなか面白かったです。

てっきりホラーかと思って観たんですが、中盤までは特にホラーってこともなく、ジャンル分けできない言ってみれば「何を見せられてるんだろう」って感じのぼんやりしたお話。強いて言えば仕事熱心な主人公が変な家族を相手に"ベイビー"を救おうと頑張るお仕事ドラマみたいな雰囲気。
成人男性なのに赤ちゃんとして育てられている"ベイビー"が見世物的な奇怪な存在として描かれていなくて普通に家族に守られて暮らしていることに安心します。安心するけど、それだけにストーリーがぼんやりしてしまってはいると思います......。
また、主人公の夫は不在でベイビーも喋ったりは出来ないので、本作は女4人の間で話が進んでいくんだけど、敵対する主人公のアンと、ワーズワース家の間にもどこか女同士の繋がりが感じられて、なんつーかよく言えばほのぼのしてる、悪く言えば緊張感がないんですね。ただ、個人的にはこのなんかゆるい雰囲気は結構好きで、トムとジェリーのじゃれあいを見るみたいな気持ちになりました。

主人公は最初はただの仕事熱心な人かと思ってたら、だんだんと彼女の抱えるものが仄めかされていって、それと共にどこか危なっかしさも感じられるようになる展開がスリリングで、一家とやり合っている時より彼女が家にいる時の方がなんか怖いくらい......。

中盤まではまぁそんな感じなんですが、終盤からついにお互いに動き出してバトルが繰り広げられるところは今までのゆるさとのギャップで一気に面白くなります。
そして、その果てにある結末には唖然......。なんじゃそりゃ!という苦情混じりの唖然ではありますがなかなかインパクトがあり、こういう昔の変な映画の強烈なラストとか大好きなのでここにきて一気に偏愛作になってしまいました......。変な映画が好きな人には超オススメっすねこれ......。
てか観終わってみればやっぱり女たちの物語で、ベイビーはほぼモブみたいなもんだったのに笑う。

あと、登場人物の衣装がレトロかつ妙にみんなえっちで良かった。特に金髪ツインテの次女がいつも童貞を殺す服みたいなの着ててとても良かった......。
あと、「呪われた密室の恐怖」という邦題がなんも内容に掠ってなくてわろた。呪われても密室でも恐怖でもない......。
青山

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