長靴を吐いたネコ

KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XVの長靴を吐いたネコのネタバレレビュー・内容・結末

KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV(2016年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

※記憶保持が主目的の為ネタバレ全く自重していませんので、今後観る予定のある方は読まないことをお薦めします。
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【KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV 】 (Theatre)
2016年
総合評価 2.8 → ☆2.8

「シナリオ」 (1.0) … 2 → 2
「演出全般」 (1.2) … 3 → 3.6
「心理効果」 (1.5) … 3 → 4.5
「視覚効果」 (1.1) … 4 → 4.4
「音響効果」 (0.9) … 3 → 2.7
「教養/啓発」 (0.8) … 1 → 0.8
「俳優/声優」 (0.7) … 2 → 1.4
「独創性」 (0.8) … 4 → 3.2
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【ストーリー】
魔法が得意な国と機械に強い国が戦争してて、魔法の国が劣勢だったけど、機械の国の和睦の提案を鵜呑みにして国が滅亡。王家に伝わる大事な指輪を持って逃げる姫を守る主人公だったけど、ピンチの時に指輪嵌めたら強くなって敵を撃退して、自身も死亡。姫はどこかの国へ嫁ぎに行ったっぽい。あと巨大なタコとか石像みたいのも戦ってた。
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≪キーワード≫
日米合作 フルCG FF

【魅力】
・CG
・狂った美的センス

【不満】
・わかりにくいシナリオ
・キモイ映像
・キモイ声優
・FF設定無視

【印象に残ったシーン・台詞】
巨大な何かの重量級ファイト。
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【少し突っ込んだ感想】
CGが非常に綺麗だった。おそらく、「日本CG向上委員会」なんてものがあったとして、そこにこの作品が出展されたとしたならば、文句なしダントツ一位だったと思う。ただ、正直映像の好感度は前作の方が高かった。今作は実写すれすれまで近づけてあった事が逆に仇となって、ちょっとした顔の表情などが不自然極まりない。そもそも映画の表現力なんてのは、一流の俳優が絶え間ない訓練によって磨いていくスキルなので、それをクリエーターが間接的に同等レベルに表現するなんてのは不可能だろう。そして、映像がリアルであるがために、その違和感は一掃強く感じる。

思うに、前作のCGレベルが、CG実写映画としての心理効果が極まる閾値だったのかもしれない。これ以上実写に近づけて行くならば、最早、実写のクオリティを遥かに超えるレベルまで高めないとCGにする意味が無くなると思う。

シナリオは相変わらずハリウッド追従路線で、前作よりも凝っていたものの、非常に解りにくかった。そもそもの設定が歪な上に、最初のナレーションの説明も下手だし、演出で理解させるスキルも感じなかった。しかも途中で寝てしまった(←これは自己責任)。

まあ、そこまでは良いとして、相変わらずFF無視だったのはいただけない。賢明なファンならば、前作で懲りてわざわざ観に行くことは無いかもしれないけど、それが正解だろう。一応、申し訳程度にクリスタルとかは出てたけど、四元素もケアルもバハムートも出てきません。魔法と言えばワープみたいなのばっかりだし、戦闘が地味すぎた。少なくとも私のようなレトロゲーマー目線では、FF要素ゼロに等しい。タイトルを聞かなければFFの作品だと気付かないのは、前作と同じだった。ファンよりもハリウッド追従の姿勢を大事にするのは監督の自由だけど、会社を傾けた前作の大失敗からイマイチ学習してないような気がする。映像だけで感動できる観客は高評価付けるんでしょうね。

世界観はなかなか面白く、剣や魔法の世界なのに、建築物は近代的なビル…というか、現代の東京の街をそのままセットにした感じ。車もセダンとか普通に走ってたし、ファンタジックな戦闘服とかカウボーイの格好とかビジネススーツとかファッションセンスもカオス。なかなか貴重な光景だけど、美的センスは欠片も感じなかった。やはり美的センスを感じる街並みというのは、ある統一感のある文化が前提条件なんだな、と痛感できる。

まあ、そんな感じで、部分的に非常に頑張ってたけど、映画全体の完成度としては、前作の方がまだ上だったと思う。普通に「ウォークラフト」みたく剣と魔法と怪物の映画にしておけば、大ヒット間違いなく、シリーズ化も余裕だったのに、敢えて誰も望まないし何も良いことが無いイバラの道を突き進むとは、さすが超一流のクリエーターは違うな、と思った。
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